モストコットの澱は夫婦の絆

春には毎年、伝統的製法のバルサミコ酢醸造で使う、唯一の原料としてモストコット(葡萄の絞り汁を煮詰めたもの)を濾過作業をします。

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アルコール発酵しているので、濾過した後のモストコットはビンサント(デザートワイン)のような素晴らしい味と香り。アルコール度数としたら8度前後。

これを飲むことはせず、すぐにバルサミコ酢の原料として使うため、酢酸発酵専用の大樽へ何回かに分けて移し替えます。

というのも、このモストコット糖分が残っているので、ワインの酢酸発酵のようにワインに種酢を入れたらできるというような簡単なものありません。

多量の糖分は酢酸菌の働きを邪魔するので、バランスが崩れると酢酸菌が死んでしまい、酸度が生まれず腐敗に傾くこともあります。

バルサミコ酢は酢ですから、酢酸菌が上手に働く条件を整えてあげるというのが私たち醸造をする者の仕事。

毎年新しいアルコール度数があるモスココット(酢酸菌の餌になるというとイメージしやすいかもしれません)を追加してあげないといけないため、9月に葡萄の収穫をして、ゆっくりとアルコール発酵を行い、春には濾過作業をします。

去年の作業の動画です

もうこの作業は14回目。思い出深い年はなんといっても、息子が生まれた2013年。415日生まれたため、ばっちり濾過作業の時期と重なり、タンクによじ登るためどう考えても臨月は無理そう。

まあ2人目だし、産後大丈夫だろうとたかを括り、生まれてくる前日まで濾過したモストコットを入れる樽を掃除をしたりしてました。それを見た姑がすんごいびっくり。止められましたが、予定日1週間前で、長女は予定日過ぎて10日目に生まれ難産だったためもういい加減に出てきて欲しいから、やってるので大丈夫と働き回っていたら、次の日の早朝安産で生まれてきました。

この写真は生まれてくる12時間前

が、誤算はこの作業、かなり重労働。産後2週間後にやるもんじゃないというのが私の結論。流石に作業後、1日起き上がれなくなりました。

他人に任せたのでは色々な状態を見ないと納得したものにならないため、夫婦力を合わせないとできないバルサミコ酢。

まあ結婚生活もモストコットのようにオリも溜まれば香りも味も増す。バルサミコ酢のように年数が経って円熟したい物です。

今年の濾過作業の様子はこちらから

バルサミコ酢品評会のサンプル鑑定

バルサミコ酢品評会に向けての鑑定が今年も開始。2021年は第55回目の品評会。

第51回の品評会当日の舞台

私は日本人で唯一のA級の鑑定士だけれど、鑑定士で続けるためには、年間にある程度の数の鑑定しなくてはいけない。

マスタークラスを目指しているので、試験資格が出来るまでの3年間は最低でも年間60本のサンプルを鑑定が義務付けられている。

通常1000を超えるサンプルが集まる

コロナ禍で鑑定会はできないので去年から、試験管に入ったサンプルが番号を振られ自宅に届き、鑑定。

鑑定会であればだったら6人、私がテーブルについて、一点のサンプルについて、まず個人で鑑定を行い、その後そのテーブルで再審査をしますが、1人の場合はずっと黙々と鑑定をするだけ。時間的には会場に行く手間もないし好きな空き時間にできるわけで、議論しなくても済む。安定した点数もコンピューターに入力すれば完了

1本のサンプルにつきデータ入力まで大体20分弱で鑑定できるのだけど、集中して行う条件を作っていくのは結構難しい。

もちろんある程度の期間が空きすぎると間程度の感覚とは鈍ってくるし、点数にばらつきが出てくる。

それを防止するために、まずバッファーサンプルが送られてきて、それについて鑑定を行い、データを入力をした後どのぐらい自分に誤差があるのかというのがデータ化して届くなかなかよくできたシステムで、自分の鑑定で誤差が生じた部分を認識できる。(約30点ほど鑑定しました。)

今回送られてきた品評会の第一段階の鑑定のサンプルが先日届き、1ヶ月で31点のサンプル。

ただ孤独なんですよね。

やっぱり仲間の鑑定士といろいろなことを喋りながら家で頭入れて議論すると言うのもすごく面白いし、その場で鑑定の強さが実感できると言うのはとてもプラスになる。まそんな事をぼやきながら、今日も5つのサンプルを鑑定

お酢だけに、一度にそんなにたくさんのサンプルを鑑定することができず、サンプルによっては舌が麻痺するほど酸味が強いものもあって、水やクラッカーを口に含みながら鑑定します。

市場に出していない個人所有の伝統的製法のバルサミコ酢が大半を占めますから、作り手の事を考えると、適当に評価は下せない。バッファーサンプルより時間をかけて鑑定しています。

そんなわけで、今月いっぱいは第一次審査のサンプルを。これがあんまりなレベルなものが続くと、どんどん点数が辛くなる傾向があるので、注意しながら…。

来月になれば、第二次、第三次、そして決勝サンプルまで鑑定をしていきます。これは本当に面白いので楽しみです!

家庭菜園 その2

昨年からレイズベッド上げ底式の畑に切り替えた我が家。

その目的は庭で刈った大量の草や、枯れ葉の有効活用をすること。もちろん我が家には350Lのコンポストが2つあるけれど、全く追いつかないくらいの量が毎年出るのです。

紅葉の風情はあるけれど落ち葉掃除は大変…。

木枠を組み立てる作業

丸鋸で長さを切りそろえて、杭になる下の部分は三角になるようにして、アベンジャーのトールハンマー並みの大きな金槌で打ち込んでいく。

平でない地面に平になるように木枠を作るのが一苦労。ハンマーで杭打ちは汗だくの作業です。

やっと木枠ができたら、庭の木の剪定した枝、枯葉、枯れ草、炭なんかを敷き詰めて、そこにネコで何十杯も腐葉土を運ぶ。

剪定の枝、枯れ草を踏んで均一にしているところ

この土は長年庭の枯れ草や枯葉を山積みにしたところは腐葉土の宝庫。イタリアの田舎生活は、日本で触ったこともなかったネコ扱いも上達するおまけ付き!今なら平均台の上も渡っていけそうです。

そんな作業がやっと進んだある日

各レイズベッドに蛇口をつけて、自動散水設備を取り付けよう。と言い出す夫MAX

蛇口

ガーデン用品屋に行って聞くと、通常タイマーなどの散水システムは水道の蛇口に繋いで、その圧力を利用して散水できる仕組みだそうで、溜め水には利用できないとのこと。我が家の畑の周辺には付い堂の蛇口はない。100mほど離れたところに、古い井戸があるくらい。溜め水を作ったとして、手動式にしても高低差がなければ水は流れない。水道の水圧は通常0.25 0.3MPa。同じように30m以上の距離に一定の水量を短時間に散水するには同じ直径のホースを使った場合、理想として溜め水を5m!!の高さに上げないと無理だという。うーむ。

ぽとぽとと水滴が落ちる

必要なのはぽとぽと点滴のように水滴が落ちるようなシステムで、継続的な噴射のような散水は必要がない。各植物にゆっくりと落ちるようにすればいい。考えました。

まず、倉庫に転がっていた3000Lのポリタンク。以前葡萄畑を管理していたおじいさんが、水道がつながっていない倉庫に水を溜めていたもので、それを家族全員で運ぶ。

畑に近い少し高くなっているところに設置。井戸水を貯めて、改築工事に使ったあまりの水道の塩ビパイプ(これも倉庫に20年以上放置されてた)を繋ぎ、

長い長い水道の塩ビパイプ

各レイズベッドまで穴を掘り地中に埋めて、最後はレイズベッドの上を這わせる。途中途中、ガーデン散水用の細ーいチューブをドリルで穴を開けて取り付けて完成!

費用は1番お金がかかったのはこの大きなチューブを接続するジョイントの部分。かなりの数が必要でした。とはいえ1番かかったのは労力!

ここまで作るのにかかった時間は1ヶ月。もちろん沢山の野菜を植えました。

まあできることできること、毎日毎日食卓を賑わせてくれた野菜たち。もちろん我が家のバルサミコ酢と合わせても色々楽しみました。

動物性の堆肥を全く使用せずここまで採れるのか!というのが私の驚きの感想。そもそもこのレイズベッドを作るにあたって、「庭から出る大量の葉っぱや落ち葉を有効活用する」という目的は達成できたというわけです。

さて今年は2年目。随分減ってしまった土。落ち葉と枯れ草を入れ、また腐葉土を入れて野菜を植え始めました。

 

そんな動画はこちらから。しかし、畑仕事はいい筋トレになりそうです。

イタリアで家庭菜園その1

モデナに住み始めた頃、その頃来てくれていた庭の手入れをする方が、我が家の庭の一角に畑をしていた。

いくらでも採って食べてもいいからと言われていたけど、数年経ったら自分でやりたくなった。

バルサミコ酢もだけれど、一からやりたくなるのが私の悪い癖。

私にもスペースをちょうだいとお願いして、耕運機で耕してもらい、始めたのがきっかけ。そのうちその庭の手入れをしてくれていた方も退職してしまい、耕運機を自分で持っていないから、耕すことがえらく大変で、刈った草や、枯葉を重ねていくという「耕さない」という自然農法に目が行ったのだけれど、結局夏バカンスの間に数週間留守にするとどれが作物で、雑草か全く見分けがつかないボウボウぶり。

バカンスから帰って、畑に行ったら草に埋もれたカボチャにつまずいて転んだことも…。

そんなことを見かねて去年、レイズベッドという上げ底式の畑を取り入れよう!と一念発起。折しもイタリアロックダウン第一波で、時間はたっぷりある。

家族でとレイズベッド大制作プロジェクトを立ち上げる。

何でも大プロジェクトとか大きなスローガン()を掲げていろいろなことをするのが大好きなMAX

材料は角材100本!倉庫に保管されていたものを使用。6m× 1m高さ30cmのレイズベッド4つ作ることにした。

なんでそんなに角材が必要となれば、無理だよね。となるのが普通だけれど、なぜか我が家にはこういうのがあるんですよ。

遡る事、数年前

ガラス瓶を扱う会社で働いていた従兄弟が、資材運搬使われてくる固定用の角材がたくさんあり、通常は廃棄処分するのだけど、勿体無いよな。というのを聞きつけた我が夫。

運搬費を持つから、譲り受ける!と言い出して、長さは2メーター幅10センチ厚み6センチのしっかりとした角材で樅の角材を1800本‼️ほど無料で貰い受けた。といっても運搬にクレーン付きの10トントラックをお願いしたものだから、運送費は嵩んでしまった上、15cmもある釘が一本に510本刺さっていた。それをバールで一本一本引く抜き、まっすぐなものとそうでないものに振り分け、真っ直ぐなものは木工材料、使えそうにないものは丸鋸で切断して薪ストーブの燃料にする事にした。ここまで相当の労力!

MAXよ、はっきり言わせて欲しい!ただほど高いものはなし!(←こういうことがものすごく沢山ある我が家)

さて本題へ戻ろう。こういう思いつきプロジェクトは構想夫。実働私というのがものすごく多いため、私が条件を出した。始めたら最後まで子供達含め、土入れと、苗植えが終わり、支柱立てまでしっかり飽きないでプロジェクトをやり遂げる!というもの。

支柱用に切り出した竹

プロジェクトを推進中もどんどん案を出す夫。これはやっぱり自動散水設備を取り付けよう!

もしもーしここ水道の蛇口ないんですが

次回へ続きます。

イタリア生活、バルサミコ酢の醸造を動画で紹介しています。

 

バルサミコ酢レシピ その11 ラムチョップのバルサミコ酢焼き

行動規制が出ているので、今年は家族4人で過ごしました。朝食はトルタディフォルマッジョ。中部イタリアのウンブリア州グッビオからモデナに嫁入りしてきた主人のおばあさんが、必ず作っていたそうで、私もレシピを聞いて毎年作っています。チーズと粉が同量という物凄いレシピ本当は丸ですが、復活祭のブログに書いたように今年は鳩型

お昼はもちろん、卵のたっぷり入った手打ちパスタ。ガスパリ製粉所の石臼で挽いた小麦

を使ってロゼッタを作りました。中にはベシャメルソースとプロシュットコット(ハム)、そしてパルミジャーノレッジャーノ チーズがどっさり入いる、太巻のように巻き込んで作るパスタ。切り口が渦巻き状のバラの花の様な様子から名前がついたパスタ料理。オーブンで焼いて食べます。

パスタには今の時期畑の畦道にたくさん生え始めた、オルティーケ(ネトル)を練り込んで緑色に

メインのお料理はラムチョップのバルサミコ酢焼き。

羊の肉を食べる習慣は古く紀元前まで遡り、旧約聖書の中で、神がエジプトにおいて、奴隷のイスラエル人(ユダヤの民)を自由解放した話に基づきます。
「エジプトを今晩通過するだろう、そして、(エジプト人の)長子を皆殺しにする」それを聞きつけたイスラエル人が罰を受けない目印として、家の戸口に子羊の血で目印をつけたのだとか。
キリスト教においては、犠牲になった子羊(キリスト)は救済の象徴ということで、復活祭でイタリアでは羊を多く食べます。羊ではなく、ウサギやヤギを食べる文化を持つ地域もあるそうで、色々調べてみるとなかなか深い復活祭の食卓なのでした。

今日ご紹介するレシピは代々アチェタイアを持つ、モデナ在住の方に教えていただいたレシピです。お酢や、白ワイン、アンチョビが入るので、ラム肉の臭みも気にならないとってもおすすめのレシピ!是非試してみてください。

ラムチョップのバルサミコ酢焼き

材料

(4人分)
ラムチョップ 1kg
塩、胡椒   適宜
オリーブオイルEV 大さじ1
バター    100g
にんにく   1かけら
白ワイン   250ml
肉のスープストック 200ml

あわせビネガー(細かくみじん切りか、ミキサーにかけて作っておく)
ワインビネガー 大さじ2
ローズマリー  1枝
にんにく    1かけ
アンチョビ   4枚

伝統的製法で作ったバルサミコ酢 大さじ3

作り方

注意:香りと風味が飛んでしまいますので、バルサミコ酢に火は入れないでください。

合わせるワインは ランブルスコ グラスパロッサ種、アマローネ、プリミティーボなどがお勧めです。

その他のレシピはこちらからどうぞ

復活祭

復活祭

Buona Pasqua

復活祭おめでとうございます。

子供達が食紅で色をつけてくれたゆで卵

去年よりも少し規制が緩いとはいえ、ロックダウンのイタリア。

大袈裟に集まることができないので、家族で過ごします。

この復活祭の、日本のお正月の雰囲気と似たようなところがあり、キリスト教においては全ての行事が復活祭から一新される節目の行事です。復活祭の詳しいお話はこちらからどうぞ

イタリアは復活祭の休暇中。

気候も良くなってくるこの時期、学校の授業がオンラインに切り替わってからもう1ヶ月。我が家の小学2年生は、エネルギー爆発中。12歳のお姉ちゃんと喧嘩がすぐ始まるし、散歩に、サイクリングと連れ出してもお友達と遊べないというのは相当ストレスが溜まってくる感じなのです。

14歳以下は少人数であれば、外で遊ばせてもいい!という記述を発見。とはいえ、公共の施設公園の遊具などは全て使用禁止になっており、それぞれのご家庭の考えもあるし、なんとなく電話して遊びましょうというのも憚られる。

たまたまスーパーで会った幼稚園のママ友と遭遇、うちももう限界!と愚痴大会。どこへも行けない長い休暇は親子とも持て余し気味。

じゃあうちに遊びにおいで!と誘った帰りにもう1人の運動不足解消のお散歩中のお友達発見!

早速遊ぶ約束を取りつけて意気揚々と帰宅。

もちろん息子は大喜びで、お友達が来る1時間も前から玄関前で待ち構えておりました。

友達が来て大張り切り、木に登って見せる息子。や、それ無理でしょ!と2人の友達の背中が語ってます。

やってきた友達2人と、棒切れを持って庭中走り回り、そこら辺に穴を掘ったり、ボール遊びをしたり、木に登ったり19時過ぎまで、みんなほっぺは真っ赤、襟足を汗だくにして思いっきり遊んだのでした。子供は子供と遊ばないとダメですね。

3人とも年の離れたお姉ちゃんがいるので、まあ口達者。おやつを食べているときに観察していると、まああ3人でしゃべる事しゃべる事。1番白熱していたお題は?どんなイースターエッグチョコがもらえるか?でした。うーん時事問題抑えてますね。7歳侮れない!

なぜならイタリアのイースターの大きなチョコレートの卵の中にはソルプレーザ(サプライズの意)の大きなおまけが入っているのでチョコレートの大きさだけでなく、それも楽しみにしているんです。巨大なチョコレート卵の動画はこちらから

卵は復活を意味し宗教的にも意味がありますからゆで卵に色を塗ったり、卵の飾りを作ったり子供達と一緒に飾りを作りました。卵型にした枝は剪定が終わったばかりの葡萄畑から持ってきて庭に咲いている花を。鳩そしてオリーブの枝は平和の象徴。オリーブの枝の関連記事はこちらから

子供たちの手にかかるといろんなものが付け加えられていく飾り

コロンバという復活祭に食べるお菓子も鳩の形。今年は最近料理に目覚めた娘が一人で作る!とネットで動画やレシピを探して作ってくれました。2日かけてゆっくり発酵させて作ったコロンバ。とっても上手にできています。型がなきゃできない!というのでネット通販で、つい20個(10個とほぼ同価格だった)も買ってしてしまい…。この分だとざっと計算して20年分!?それは流石に困るので、本当は丸いトルタディフォルマッジョも今年は鳩型。この分だとクリスマスのパネットーネも鳩型決定の我が家。5年くらいで型を消費したいものです。

さてこれから、復活祭の昼食の用意にかかります。

この時期に行うバルサミコ酢の移し替え作業の動画はこちらから

樽の移し替え作業

バルサミコ酢の移し替え作業

一年に一番寒い時期に、1番小さな樽から最終製品を取り出し、それから数ヶ月後本格的な春の訪れの前、酢酸菌が目覚め始めるころ、私たちは移し替えの作業を行います。

真冬の間は、醸造室は静か香りも穏やか。少しずつ気温が上がり始めると香りが立ち始める。面白いもので、あ、起きてきたなと感じます。それは庭のマーガレットヤ、オオイヌノフグリが咲き始める頃と同時期。やっぱりお酢も生きているんですね。

バルサミコ酢を醸造するにあたり、1番独特な作業がこの移し替え作業ではないかと思います。バルサミコ酢を伝統的な製法で熟成させるには、寒暖の差が激しい屋根裏部屋に置く必要があり、夏は酢酸菌が活発に働き、寒い冬の間は酢酸菌は働かず、休眠状態にさせることが不可欠です。なぜなら寒い冬の間に、澱が樽の下に沈み、光沢と輝くような褐色の液体へとさせるため。

そんな時期を寒い過ごしたバルサミコ酢は、春、酢酸菌が目覚める頃、大きい樽から小さい樽へ順繰りに、バルサミコ酢を移し替える作業を行います。

最低でも大小容量の異なる5-9個の樽が一式とし、一定期間の熟成後、1年に1度移し替え作業を行います。小さい方の樽に隣の樽から蒸発した液体分を補充します。

私たちの醸造室の樽は大小、大きさの異なる5つの樽を1セットとして構成されており、樽の上部に開いたコキューメという蓋の部分からは勿論、樽壁に染み込み、外に蒸発する年間の量は10-20%と気候に左右されやすく、毎年一定ではありません。この移し替え作業を経て、12年経った時点からバルサミコ酢を採取できるようになります。その量は最小樽の8%以下が望ましく10Lの樽からは800mlも採れないのです。ざっと計算して、我が家の13年熟成のバルサミコ酢、100mlの中に使った葡萄は2Kg。しかも13年、13回の葡萄の収穫がゆっくりととても長い時間発酵13年の醸造作業の積み重ねと、時間の経過の間に木樽に入ったバルサミコ酢はゆっくりと時間をかけて濃縮し、粘度が増し、木材と酵母と酢酸菌の複雑な相互作用により芳香が増します。もちろん、セットの5つの樽の中身は1番大きいものは1番新しい成分が異なり、香りも、粘性も味も全て異なります。移し替え作業をすることによって、樽が小さくなるごとに熟成が進んでいくのです。

ワインの製造では樽にワインを入れて蓋をして、熟成を行い、樽は数年で廃棄されますが、バルサミコ酢は毎年、樽の手入れを怠ることなく移し替え作業を繰り返し、50年、100年と使い続けることによって、芳香が高まり、価値が上がるのです。言ってみれば、樽無くしてバルサミコ酢はできません。

ワインは瓶詰めをして時間が経てば経つほどと価値が上がるものがありますが、バルサミコ酢は樽の中だけで熟成します。何故なら毎年の移し替え作業があってこそ酢酸菌、と酸素との働き、葡萄や樽の木に含まれるフェノール類の重合作用など熟成に必要な様々な要素が複雑に絡まり合い熟成が起こるためなのです。揮発性の酢酸菌は長い長い熟成の中で量が減っていきますが、有機酸がどんどん増えていきます。そのため空気の流れが生まれない瓶の中では熟成は止まります。

そのかわり瓶の中では瓶詰めされた品質の状態が保たれます。科学検査を行った結果、完全に密封された容器の中では50年以上経ったものでもその品質に変化はなかったと言う報告があるほど。本当に長い期間熟成されたバルサミコ酢には賞味期限は必要がない。と言うのが醸造家の共通した意見ですが、市場に出す場合法律で賞味期限の表示が義務付けられていますので、一般に伝統的な製法で作られるバルサミコ酢には10年の賞味期限を表示する事になっています。

さて、今年も移し替え作業を主人と2人しました。こんな手作業なの!と思われるかもしれませんが、そうなんです。樽の中の上下の状態が違うバルサミコ酢をかき混ぜすぎないようにやるには電動ポンプなどを使えませんし、取り出す液面の高さは樽の大体真ん中あたりから。補充する液面の高さは指の高さなど小さな蓋の部分から微調整を行うにはこの方法が1番。動画を作りましたので、ぜひ覗いてみてください。

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椰子の日曜日

我が家の葡萄畑の剪定も無事終了。畑仕事を始めたり春はなかなか忙しい季節です。

今日は椰子の日曜日

キリスト教ではイースターの1週間前の日曜日は椰子の日曜日。もしくは枝の主日と呼び、重要な意味を持つのだそう。というのもイエス・キリストがエルサレムに入場した日であり、エルサレムの群衆がロバに乗ってやってきたイエス・キリストをナツメヤシの枝をもって迎えた事からこんな風習ができたそうです。

こんな絵を見つけました。群衆がナツメヤシの枝を持っています。


その記念の日曜日、全世界のキリスト教教会で枝の主日が行われるわけですが、どこでもこのナツメヤシが手に入るわけではない。ということで、各国によって持つ枝が違うのだとか!イタリアではこの日教会のミサにてこの時期剪定されるオリーブの枝が配られます。

私はクリスチャンではありませんが、嫁に入ったフォルニ家は敬虔なクリスチャン。

家族みんなでミサに行きます。

政治と宗教は別であるというイタリアではありますが、習慣や風習にはキリスト教の行事が深く関わっていて、とても面白い。

オリーブの枝は旧約聖書の中のノアの箱舟で洪水の後、ノアが放った鳩が水は引けて安全だよと言う印にオリーブの枝を箱舟に持ち帰ってきた。という言い伝えから平和の象徴として使われるのだそう。

そう言えば、国連の旗やユニセフの旗もオリーブの枝が描かれていたなとか、そういえば、復活祭に食べるコロンバというお菓子も平和の象徴の鳩。欧米文化の色々なところに現れているのだと一人納得。

残念ながら今年は教会前でのオリーブの枝配りは、コロナの影響で行っておらず、町のお花屋さんでオリーブの枝を購入して祝福をミサで受けると言う形になっていました。

リグーリア州で神父をしている義弟に電話をしたら、オリーブオイルの産地でオリーブの枝には困らないという事で、普通に枝を配ったのだそう。

なるほど、レッドゾーン(自分の住む市から出てはいけないという一番厳しい行動制限)はそんなところにも影響が出るんですね。

おじいさんが持たせてくれたオリーブの枝、剪定した葡萄の枝で作ったリースに飾りました。

それを知らなかった我が家、親切なおじさんが持ってないのかい?と言って娘にひと枝持たせてくれました。

そんな気持ちがちょっと嬉しいそんな日曜日。

オリーブの枝をあしらったお花の写真を一枚

バルサミコ酢の瓶とお花のコラボレーション 長野県のある葡萄畑にて 

日本で販売しておりますバルサミコ酢残り半分以下になったそうです。購入を希望される方はお早めにどうぞ。

https://www.eet.co.jp/

イースターの巨大チョコレート卵作り

復活祭の準備

 復活祭(英語ではイースター)は日本ではあまり馴染みのない行事ですが、イタリアを始め欧米諸国では大事な行事。なぜなら、復活祭はキリスト教において、クリスマスよりも重要な位置づけとされており、大体的にお祝いをします。もちろん学校、会社もお休みに。今年2021年は44日が復活祭通常月曜日もお休みになります。

 2月カーニバルが終わると四旬節という期間があり、40日間続く復活祭に備える期間に当たります。この期間は、結婚式などのお祝いを行わない、クリスチャンは金曜は食生活においては肉食、アルコール、お菓子を控える、など色々な制約があったりしますが、現在は随分変化してきているようです。詳しいお話は料理研究家長本和子先生の主催する マンマのイタリア食堂 イタリア便りでお話しさせていただいたので、こちらからどうぞ。https://youtu.be/dGW0PCYS9Ic

さてこの時期スーパーマーケットにうず高く並び始めるのが、チョコレートの大型卵とコロンバという鳩の形をしたお菓子。

この卵の中身気になるところ。スーパーに売っているものは男の子用女の子用なんてキャラクターで分けられていたり。何故ならチョコレート卵の中には大きなおまけが入っているんです。チョコレート卵を作っているお菓子屋さんは、贈り物を別途持っていくと入れてくれるというサービスも。指輪や、新車の鍵なんて超高額商品をプレゼントもできてしまうという。この贈り物相性してソルプレーザ(驚き)と呼ばれています。

例年であれば、復活祭前に友達を呼ぶと、子供たちへのお土産で、復活祭にあけるんだよーなんて言いながら手土産に持ってきてくれるなんて事もあり、最大10個も溜まったことも⁉️今年はコロナでそういうこともないので、子供達と作ることにしました。

それも大きな大きな1kgサイズ。

自作するのがいいのは、チョコレートが選べること。市販のものは粗悪なものだとアラビアガムが添加されており、後からお菓子に加工しようとしても綺麗に溶けなかったり、変なベタつく塊に変形したり、結局食べきれずにということもあるので良いチョコレートを選んで作れる!しかも余ったらお菓子作りに使えます。

山のようなチョコレートを刻み溶かして型に入れて簡単なようですが、チョコレートに含まれる油脂分を溶解させて、安定した細かい粒子に結晶化させる温度調整が必要でうまくいけばつやつやな口溶けが素晴らしいチョコレートができ、型からもパカっと外れるのですが、間違うと型から取れない、食感が悪く白っぽい粉を吹いたようなものができます。

温度計を用意して温めて、一定温度まで手早く冷やし、型に入れて冷却。

うまく行ったのに、型に入れた量が少なくて薄い部分ができてしまい、接着面を温めて2つを合わせた時に割れてしまったり、やり直したりして、はあああ時間がかかった!

子供達とホワイトチョコレートに食用色素で色をつけてペイントをして出来上がり。

そんな驚きの大きな大きなチョコレート。作った様子動画でご紹介します!

YouTobeチャンネルはこちらから

 

沢山の方に感謝して

初めてバルサミコ酢を販売が始まって1ヶ月。

それもイタリアの市場ではなく、日本へ。というのも伝統的製法のバルサミコ酢は年間に少量しか樽から取ることができず、私たち自身もっと良いものを作りたいため、各樽のセットの状態を見ながら、一番最小限の1L弱を取り出しました。33セットから取り出したのは26L弱、100mlの小瓶に250本詰めて、200本を日本へ発送。残りは我が家の醸造室へ来てくださった方のみに販売をしていく予定です。

 日本での販売は伊勢丹の外商顧客の特別販売会でのお披露目と並行して、オンラインで予約販売そして店頭での販売というスタート。

大変ありがたいことに、輸入販売をしてくださったda Romaのお客様を始め、過去モデナの我が家まで見学に来てくださった方、日本でのバルサミコ酢講習会にいらしてくださった方、SNSでずっと見てくださってくださって来た方、友人知人の皆さん。届きました!レシピを見てこんなふうに使いましたという作レポまで沢山のメッセージをいただき、生産者としてとても嬉しい限り。

引き続き da Roma

の店頭、ネットショップでの扱いがございますので、購入ご希望の方はご利用ください。

本来なら、日本へ販売のために帰国して売り場に立って、直接お礼を申し上げたかったのですが、コロナ禍ではかなり難しい。

どんな形で感謝の気持ちを伝えようかと、考えながら瓶詰め作業をしているときにSNSにバルサミコ酢が入る瓶の写真をあげたら、長野でお花屋さんを営むお友達のロミさんが、「瓶が一輪挿しに使えそう」というコメントを見て、これだー!と閃いたんです。

ロミさんとお会いしたのは、石川さんが主催する自然料理アカデミーと共催したバルサミコ酢講習会。

神戸での会だったのに、長野からわざわざいらして頂いて、会の後に田舎住まいで、なんらかの事業を営む女子会(ご主人がご一緒だった方もお二方いらっしゃいましたけどあえて女子会と呼ばせてください)で一緒にご飯を食べてゆっくりお話しをしたのです。またなんで全く異業種のこんなマニアックな講習会に?と聞いたら、「知恵をもらいに来たんです。」っておっしゃったのが、私の中でものすごく印象に残ったそんな彼女。同世代で子育てする事業主。業種は違っても共感できる。私の周りにはそういうお友達が沢山いますが、どの方もパワフルで一緒に何かするともの凄く力をもらえる。そんなわけで、即こんなメッセージを送りました。

バルサミコ酢を買ったお客様に何かの形でお礼がしたい。こんな世の中で、

プライベートも仕事もやっぱり直接会うことの大切さ。あの神戸の会みたいな刺激をもらった出会いってしたいなあ。って思う。

でもそれがダメならくよくよしないで、何か繋がりたいそんな思いもあってご連絡しました。

私のイメージは季節感を感じながら何気なく食卓に飾ってある感じです。長野は葡萄を作ってますよね。葡萄の剪定の時期ですから枝とかそういうものも、面白いかもしれません。

バルサミコ酢はイタリアモデナの物ですが、私は日本人だからあんまりイタリア!にこだわってないんです。バルサミコ酢を日本人に使いやすいように紹介したいなと思ってます。なので、和の食卓、洋の食卓でも合うようなアレンジができたら。

というイメージを忠実に作ってくださいました!旦那様はカメラマンというロミさんご夫婦。長野の古民家と、葡萄畑の中で数日に渡り撮影をしてくださいました。

バルサミコ酢を買ってくださった皆様に、瓶の再利用のアイデアとして、役立ててくださったらとても嬉しいです。

普段はブライダルや、フォトスタジオでのお花と写真のコラボをしていらっしゃるそう。ものすごく素敵なお花のアレンジと写真を撮ってくださいました。

ロミさんの旦那様の写真スタジオはこちらから

スタジオアネモネ

http://www.studio-anemone.com/

ロミさんのお花屋さんはこちらから

フロラリ・チロワ‐Romiの引き出し花屋

https://floraliesm.exblog.jp/

Instagram /Facebook @floralies.tiroirから.

街角(露店)からスタートした小さな花屋。『どんな場面でも♡心に残る花達を』がコンセプトです。渡仏も重ね、ウェディングから日常までフランスのエッセンスも加えながら、皆さんにお花がある嬉しさが伝わればいいな!の想いで活動中。小さな日々の思い出から大きな人生の節目までをお花の香りや色でより印象的になるお手伝いを!

お近くの方是非足を運んでみてください。