伝統を守り、ぶどうの栽培から全てにこだわって作っている至極のバルサミコ酢をご紹介します。

貴族の趣味だった


その昔、バルサミコ酢造りはモデナの貴族や裕福な人の趣味でした。それというのも、砂糖がなかった昔、甘味料は大変な貴重品。砂糖の代わりに蜂蜜かモストコット(葡萄の汁を煮詰めたもの)を使用していました。バルサミコ酢造りはその大変貴重なものを、何年もお酢になるまで寝かせておける財力を持っていたものの特権だったのです。

そのため現在でもバルサミコ酢を造るための樽を持つことは、モデナ人のステータスシンボルなのです。

Foto by motok

手のひらに一滴。芳香をバルサモを語源とするバルサミコ。酢といえど、長期間熟成されたものは香水のように何時間も香りが残ります。


バルサミコ酢に詰まった歴史

モデナドゥカーレ宮前のローマ広場の様子

 バルサミコ酢造りはモデナの風土、気候はもちろん、モデナいう土地柄が生み出した歴史的な産物です。バルサミコ酢のモデナの歴史であり、それを作るモデナ人の家族の歴史そのものです。

特徴

伝統的な製法で作られるバルサミコ酢は工業製品とは一線を画します。

その違いは原材料 ぶどうを直火で煮詰めて作るモストコットのみを使う事、そして何より最低でも12年間、長期にわたる熟成期間が特徴です。

私たちのこだわりの製法

モデナに古くから存在するトレッビアーノとランブルスコという葡萄の品種をビオ農法で栽培しています。

手摘みして、数時間のうちに絞ります。絞り方も圧力をかけすぎないように気をつけながら、モストフィオーレと呼ばれる葡萄の一番良い状態を抽出するように油圧式の圧搾器で絞っていきます。

絞ったモスト(葡萄液)を大釜に入れて、直火で丸一日かけて煮込んでいきます。火加減を見ながら煮詰めていくと、白かった葡萄液が光沢のある褐色の液体になり、とても香りが良くなります。

そうしてできたモストコットを春までゆっくりとアルコール発酵させ、ボッティマードレ(母なる樽)と呼ばれる大樽に移し、酢酸発酵に移行させ、約半年後熟成室の樽に移し替えをしていきます。

屋根裏部屋の熟成室では、材質の違う大小5つ(50、40、30、20、15L)の樽をひと組とした樽が33組。165個の樽が整然と並んでいますが様々な材質の木を使っています。西洋オーク、栗、アカシア、桜、桑の5種類を揃えています。

バルサミコ酢を伝統的な製法で熟成させるには、寒暖の差が激しい屋根裏部屋におくことが必要です。一定期間の熟成後、1年に1度移し替え作業を行います。小さい5番目の樽に隣の樽から最終製品を取り除いた分と蒸発した液体分を補充し、4番目の樽には3番目からと順繰りに繰り返し、1番大きな樽の中には、母なる樽から一昨年前に作ったモストコットがやっと入ります。

樽の上部に開いたコキューメという蓋の部分からは勿論、樽壁に染み込み、外に蒸発する年間の量は10-20%と気候に左右されやすく、毎年一定ではありません。この移し替え作業を経て、12年経った時点から蒸発量を見ながらバルサミコ酢をやっと採取できるようになりますが、15Lの樽から1~2Lしか年間取り出すことはできません。

何年も木樽に入ったバルサミコ酢は濃縮し、粘度が増し、木樽特有の芳香、タンニンや、そして酵母と酢酸菌の複雑な相互作用により芳香が増します。ワインの製造では樽にワインを入れて蓋をして、熟成を行い、樽は数年で廃棄されますが、バルサミコ酢は毎年樽の手入れを怠ることなく移し替え作業を繰り返し、50年、100年と使い続けることによって、芳香が高まり、価値が上がるのです。言ってみれば、樽無くしてバルサミコ酢はできません。

工業的なバルサミコ酢はどんな風に作られる?

伝統的な製法のバルサミコ酢はバルサミコ酢と名のつく製品の0,001%しか市場に流れていません。では工業的にバルサミコ酢とはどんなふうに作られているのか?疑問が生じるのではないかと思います。

まず葡萄の種類に限定はなく、栽培場所も限定なし。(外国で作られてたものも使用可)。ステンレスタンクで製造されている葡萄濃縮液(モストコンチェントラート)が使用されているため酵母が働かずアルコール発酵酢酸発酵は科学的にしない。

また煮詰めてモストコットを使っている場合でも煮詰めるだけ煮詰めてしまっているので、アルコール発酵が出来ず、酢に変化する酢酸発酵も起こらないため、ワインビネガーが添加されているブレンド商品。そのため発酵中に生まれる香りが生まれない。

熟成期間や、材質の違い、移し替え作業の期間など言及されていない。そのため、一種類の大樽で一定期間寝かせたものや、移し替え作業を年に何回か行ったもの、その他カラメル色素添加されたもの、樽熟成を全く行っていないものもある。

熟成室についても屋根裏部屋でなくてはならないなど場所の言及はない。モデナと書いてあっても、モデナ外、もしくは外国で生産されているものもたくさん流通している。

バルサミコ酢造り見学にいらっしゃいませんか?

https://miamodena.it/visita-esperienza-home__trashed/visita-e-esperienza-prezzo/

お問い合わせはこちらから