晩秋は雨や霧の日が多いモデナ。

この湿度、バルサミコ酢の醸造に欠かせず、夏の間乾燥した樽の湿度を保つためにも一役買っています。
そんな晩秋のある日、ArigaMo ArigaToというモデナと東京を結ぶイベントが開催されました。
モデナ県が位置するエミリア ロマーニャ州は知事が「エミリア ロマーニャ州の経済が安定しているならば、イタリアの経済は安定していると言える」と話していた通り名実ともにイタリアの経済の中心地。
それをさらに盛り立てつつ、文化交流をするという趣旨だそうで、日本の哲学に関する書籍の紹介や、映画、アニメ、の上映会、世界各国で活躍されているJazz日本人の演奏者を招待してのコンサートなど2日間にイベントが盛り沢山。
コロナの関係で、直前まで開催がわからず、正式に決まったのが1ヶ月ほど前だったそうで、オーガナイズされた皆さんは、さぞご苦労されたのではないかと思います。
現在士官学校として使われているモデナのドゥカーレ宮にて晩餐会が催されるとの事。
そこに夫婦でご招待を頂きました。

王宮の大広間に入れるのはこういうイベントならでは。(一般公開は土日のみ事前に要予約でガイド付きのツアーが開催されています。)正面玄関左側にはカラビニエーリと呼ばれる警官が何人も常駐しており、予防接種パスポート、並びに名簿のチェックを受け、空港の金属探知機のようなものを潜ると全身にアルコールが吹き付けられ、会場である、王宮内に案内されます。国家警察の管轄でもあるので、勝手にウロウロとはできず、大きな階段を登り、これもまた重厚な渡り廊下の途中途中に案内の警官がチェックをしている物々しさ。大きさの異なる5つの広間のある会場に到着する。
年に一度バルサミコ酢愛好者協会モデナ支部の鑑定会では反対側の少し小さめの広間には何度か入ったことがありますが、こちらは初めて。天井画がことに素晴らしい。
モデナのミシュラン一つ星レストランエルバデ デル レのシェフがお食事を担当。ソムリエと共にモデナの郷土料理をアレンジしたお食事。
その前後には鳥肌が立つよような素晴らしいJazz演奏。
主催の源の会、モデナを代表する企業家の皆さんそしてローマの日本大使館からも副公使のご挨拶がありました。
すっかり澄まして座ってますが、会場に辿り着くまで大変だったことと言ったら!
是非お着物でとお願いされ、もちろんと快諾したものの、数年に一回しか袖を通さない着物を引っ張り出してきて、すっかり忘れた着付けの特訓から!
豪華に見せた方がいいなら二重太鼓と袋帯を出してきたのはいいけれど、いつもお太鼓に使っている帯より絞めるのが難しい。YouTobe先生を見ながら、前結びで後ろに回すなど色々試してみましたが、最終的に手を後ろに回して結ぶのがやはり一番崩れなく結べそう。どんなに気を付けて着ても、襦袢の襟がなんだかクシャっとして決まらない!長くしまっていたためか、少し襟が形崩れしたためらしいと気付き、アイロンをいくらかけるも駄目。日本なら襟芯を替えるなり入れるなり、襦袢を買い直すなりできるけれど、イタリアでは無理。意を決して半襟を解いて、衿芯にすべく布を買いに行き付け替えるとなんとかピッシリ着付けられた。練習はずいぶんしたし、後は着付けタイムを測って(30分きっかり)出かける時間に合わせて着付けるのみ!と意気込んで当日。
着付けをしていたら13歳の娘が興味津々で、YouTobe動画を見せながら、手伝ってくれました。
「ストップ!この部分をを押さえて!引っ張るよ!よし、紐!今度はこっち持ってって!」
といつもよりずっと帯も上手く締まっている。一回最後の形を作り直すも23分で着付け完了!二重太鼓もばっちり帯揚げもピッシリ決まったし、思わずガッツポーズ。

が、この日は朝から雨。
主人は運転しないので会場までは私の運転。足袋の上に大きめのスニーカーを履き、踵まであるロングコートを着て裾をからげてやってきたなど、誰も知るよしもなし。
帰りは雨は止み、帰途に着く頃、深夜の正面玄関は施錠したため、王宮の警備員に裏門に案内された。こちらも物々しい窓口を通り過ぎて、街頭のほとんどない鉄の門を出た瞬間、大きな水溜りに足袋までずぶりとハマった事を抜かせば、お着物での晩餐会ミッションは無事完了したのでした。
翌日は素晴らしいお天気。本格的な冬の訪れももうすぐです。
“お着物と晩餐会” への1件のコメント
やっぱり外国でわ日本を🇯🇵背負うから大変だ❣️でも素晴らしい😍