ここ数日、バルサミコ酢の樽磨き。モデナは冬の間、濃い霧が立ち込めて、湿度が高いため、樽の周りにうっすらとカビがつくこともあり、ワインビネガーを吹きかけて、樽を一つづつ磨いていきます。秋の葡萄作業に比べるとかなり地味な作業ですが、大事な作業。

樽の中の液体は温度が下がる冬の間、酢酸菌が働けないので、眠りに入っている状態で、お酢の香りも夏と比べて少ないのです。バルサミコ酢造りは酵母による、アルコール発酵と、酢酸菌による酢酸発酵(酸素の存在下において酢酸菌によりエタノールが酢酸を生産する)という2つの発酵が起こる事を管理すると言うのが仕事。酵母や、酢酸菌とのお付き合いとなるわけで、そういうミクロの微生物の声を聞くというのを無常の楽しみ。春が来るまで、もう少し休んでね。と声をかけながら樽磨き。

菌や酵母に愛情が沸くと、他の発酵について知りたくなって、冬の間色々実験をしてすることが多い私。

まずは、バルサミコ酢作りの葡萄を発酵させる酵母。これはパン作りの酵母サッカロミーセスなので、天然酵母を、我が家の葡萄から起こして、作って毎日の食卓に上がるパンは天然酵母を使った手作りのパン。その土地の酵母にぴったりなのは地粉ではないか?と近所で製粉所を探して、石臼挽きの地粉を購入しとこだわり始めるときりがない。まあそんなこんなで15年くらいパン作り。

日本人である以上興味が出るのは麹菌。

醤油麹醸し中

皆さん、ご存知ですか?麹菌には米麹、麦麹、大豆麹、醤油麹などなど用途別に種類がある事を。

あるって知ったらやりたくなるのが人情!いや、マニアの発想。手を出しちゃったのです。麹全部…。

とはいえいきなり全てに手を出したわけではなく、とっかかりは、美味しい味噌が食べたいけれど、味噌を送ってもらうのは送料が高い。そんな理由から。

出来立ての味噌で焼きおにぎり 

はじめの頃は麹菌ではなく、米麹を送ってもらい、味噌を作り始めたけれど、ある年イタリアの郵送事象により、遅れに遅れて、せっかくの米麹が酸っぱくなってしまい、これはいよいよ麹菌を送ってもらい自分で米麹起こさなくては!と大学時代の醸造学の本を引っ張り出し、麹菌をざっと復習。日本から麹を送ってもらいお家醸造をスタート。道具に凝り出すのも悪い癖で、バルサミコ酢の樽屋さんに特製木樽を作ってもらい、木樽に仕込み。最初は水分が少なすぎたり、表面にカビが出たりしましたが、かれこれ10年以上使い込んだ樽は、カビが生えることもなく、絶好調。バルサミコ酢醸造同様、木の偉大さを改めて感じます。

樽仕込み一年熟成の味噌これだけたっぷりあれば、味噌漬けも出来る!

醤油は、コロナのロックダウンから手を出して、圧搾機の代わりに、ワイン醸造用の布フィルターを使って手搾り。美味しいお醤油ができました。

ラーメンスープに搾りたて醤油

出来立ての醤油は焼きおにぎり、醤油ラーメンで早速使い。搾りかすのもろみはもろみまんじゅうにとカスまで色々使えて楽しいな。

醤油もろみでお饅頭

もちろんひな祭りの今日は自家製のお醤油と、味噌、バルサミコ酢も使ってひな祭りのお膳を作ろうと思います。皆さんも良いひな祭りを!

ぼんぼりの代わりにバルサミコ酢を置きました

バルサミコ酢の醸造室随時見学を受け付けておりますので、是非お問い合わせ下さい。

“発酵は楽しや、ひな祭りとバルサミコ酢” への2件のフィードバック

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