毎日寒い日が続いているイタリア。

良いお天気は良いけれど、放射冷却で朝晩はマイナスまで下がり、暖房をしても室温が上がらないどころか、煉瓦造りにタイル張りの我が家は足元から深々と冷えてくる。

こういう寒い日に食べたくなるのが、鍋物。韓国製のカセットコンロで、鍋を楽しむ我が家。ネギがポロネギだったり、白菜がビエトラ(フダンソウ)だったり、まあ代用品でなんとかやっているのです。

きりたんぽは難しいので、ご飯を半つきにして丸くしたものを焼いて入れてます。

近年はアジア系食材の輸入が増え、15年くらい前と比べたら、食材の入手がなんとも楽になったとはいえ、日本では手軽に買って来てできる、冬の風物詩「おでん」の種練り物が、外国生活ではほとんど手に入らない。もし手に入っても中華風の香辛料の香りがしたり、バカ高かったり、種類がないなどなど日本の帰国時に食べると諦める海外在住者も多いはず。でもねやっぱり何年も食べてないと食べたいのよ。

どのくらい食べたいかというと、わざわざ魚をすり身にして、さつま揚げを揚げて、作るくらい食べたい。

竹藪から竹を切り出して来て、竹輪を焼いてまで食べたい。

母から蒟蒻粉を送ってもらい、こんにゃくを粉から作っても食べたい。

自家製こんにゃくは刺身こんにゃくも美味

中華食材屋で立派なみずみずしい大根を見つけるというラッキーも重なり、いざ決行!

そういえば小さな頃から、練り物が大好き、しかも高級品好み。宮城県出身の母の実家から送られてくるキチジやエビが練り込んである笹かまぼこ、鳥取のあご竹輪、特別なかまぼこや、デパ地下のさつま揚げ。かまぼこを切るお手伝いをしながら少しかまぼこのついた板をしゃぶるくらい好きだった。おそらく、練り物がそこまで好きではない母が、スーパーに陳列されているものをほとんど買わなかったため我が家の食卓にのぼる練り物は、母が自家製のさつま揚げを作る以外、市販品は特別なものがあったときだけとなっていたのだと思う。

余談だけれど、大学の特別実習で、かまぼこのメーカーの製品を官能検査(五感を使って、品質を判定する検査)することがあった。目隠し検査で、品質の良し悪しをあてたのは私と他に数名。やはり幼い頃の味の記憶と結びついた食べ物は、身体の奥に覚えている感覚と結びついていていたのだろう。

が、厄介なことにそういう食べ物は大人になってから覚えた新しい味の記憶とは違う。食べたい!と思ったら抗い難い欲求となって、もう誰にも止められない。しかも記憶の中にあるくらい、おいしくなければ食べたくない!ので手間暇をかけ、こだわれるところには全てこだわる羽目になるのである。えーよくやるね。って人に言われても、ライバルは記憶の中のあの味。同等にするにはそのくらいのやらねば、老舗の練り物屋の味に近づける訳もなし。

自家製竹輪とさつま揚げできたては最高!

北海道出身の友人からの貴重な昆布を入れ、自分で醸造したお醤油で味をつけてイカベースのさつま揚げと、たらとキチジベースのさつま揚げを作り、葡萄畑でのびのびと育っている鶏の卵を入れて薪ストーブの上で煮る事24時間。材料調達から制作時間合計36時間くらいか。

練り物も、大根やこんにゃく、厚揚げ風油揚げに染みた出汁の味も柔らかくなった昆布の味も

味の染みたおでん

私の胃袋と心を満たしたことは言うまでもなく、スープの最後の一滴まで、あっという間に家族の胃袋に消えていきました。作り手冥利に尽きます。が、夫よ食べたそばからまた作ってねと気軽に言わないで、本当に時間がかかるのよ。なんでもある日本にいたら絶対作らなかった、こだわりの完全燃焼系おでんなのだから、、、

イタリアモデナでバルサミコ酢の醸造をしています。醸造室の見学をご希望の方はお気軽にお問い合わせ下さい。

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