今年も無事、バルサミコ酢の唯一の原料作りモストコット(葡萄の果汁を煮詰めたもの)を作る作業が終了。
やっとブログを書く余裕ができました!
手積みした葡萄をすぐに潰して、圧搾器にかけ、搾り、大釜で煮詰める年に一度の重労働。2022年は2トン前後の葡萄を4日に分けてモストコットに。
何ヶ月にも渡って雨が降らず、川の水の量が激減して、海水が逆流するくらいの水不足だったため、私の居住地域では、灌漑用水の使用は禁止令が出て、葡萄畑に一切水は撒けず、葡萄の出来にかなり影響が出るのでは?と心配していました。結果的には房と粒は若干小ぶりだけれど、糖度がとても高い良い葡萄ができました。
が、葡萄作業を開始する前に、大事な事が…。
実は去年の最後の煮詰め作業で、16年前から使っている大ガス窯は煮詰めている作業の途中で、何度も火が消えたりというトラブルが発生し、冷や汗をかいたので、今年は本格的な作業が始まる前メンテナンスしなければなりません。葡萄を絞って、釜を一杯にした後、火がつかないではどうしようもない。
去年の作業の最後に大釜のメーカーに問い合わせたら、電話だけでは故障箇所が断定できないから、持ちこみで修理か、ガス会社の人なら燃焼部分のトラブルに対応してくれるますよ。と丁寧にアドバイスをもらい、ガス屋を呼んだら、待てど暮らせどなかなか来てくれない。
やっときたかと思えば、ここを取り替えれば大丈夫と交換部品を取り寄せる見積もりを出します。と言ったまま音信不通になるという事態が発生。イタリアあるある…。
大釜は500Lという巨大な大きさで、どう考えても持ち込み修理はトラックをレンタルしなければ無理。
交換部品がわかっているのだから、9月の初めに部品を直接レッジョエミリアにある大釜のメーカーさんまで買いに行ってきました。
いやー壮観うちのは500Lだけれど、とてつもなく大きいものちょっと小さめのものどーんと積んである。作業場の横に小さな事務所が併設されている様な町工場。事務対応してくださった方も開発、製造、事務職までなんでもこなすタイプ。
バルサミコ酢用のモストコット用に売るよりも、チーズ製造のための大釜を主にイタリア全国に売っているとのこと。最近はモストコットを自分のところで作る人が減っている様で、なかなか需要不足とか。大きな醸造室はこういう窯は小さすぎて使わないし、個人でやっているところは自分のところに葡萄畑を持っている人が少ないし、大変な作業だから、大きな醸造室や、農家からモストコットを買うのが増えているのが理由なのだと思うよとのこと。

ちゃんと作業していると好感を持ってくれたのか?はたまた旦那と2人質問しまくったのが功を奏してか、ガス圧が低い場合も不具合が出るというアドバイスをもらい、自家用のガスタンクの容量が低い場合も考えられるから、ガスボンベを複数繋げて使う管も買い足すことに。1時間のガスの燃焼最高量kWhとガス重量の換算。1回の煮込み作業で使う総重量のガスを算出してくれた上、掃除の方法のイロハから、交換の仕方、わからなかったら電話してと言ってくれて感謝。実際電話したら、ちゃんと覚えていてくれて、熱がサーモスタットに変換する原理を教えてもらえました。
開発技術者兼職人さん気質の人って色々話すと色々教えてくれて最高!約束破りのガス屋をイライラしながら待たなくて良かった!
何か故障して何とかして直せる様になる度に、しかも自分のスキルが上がる!
とほくそ笑む私は、トラブル発生でもただでは絶対に起き上がらない精神をイタリア生活で培っております。
もちろん帰宅してすぐ全て掃除、交換テスト。やはりガス圧はかなり影響しそうなので、25kgタンクを2つ購入し、うちにあった15kgのタンクと3つ繋げて今年のモストコット作業に臨むことにしました。

もちろん何で何個もつなげるのかも聞いておりますよ。
一個だけだと、ガス釜(34kwh ちなみに炊飯器とかだと0、154kwhの火力なので、いかに大きいかお分かりでしょうか?)が強すぎて負荷がかかりすぎ、1時間もしないうちにタンクが冷却されすぎて、凍ってしまうので、複数必要なんだそうです。
さてさて作業はまだこれから!次回に続きます。