先週女子栄養大学の栄養学部の3、4年生の現代食文化論の特別講師を2時間100分に渡りさせていただきました。学生さん、教員の皆さんと35名以上の方の参加がありました。
2年前、特別授業をする機会をいただき、そのご縁でオンライン授業という運びになりました。

伝統的食文化の保存という観点からバルサミコ酢の醸造についてはもちろん、同じ栄養学を学んだ先輩として学生さんにメッセージを込めてお話してください。とのこと
モデナの場所や歴史、食文化を織り交ぜながら、伝統的な製法と工業的な製法のバルサミコ酢の違い。
我が家の伝統的な製法のこだわり。
手作業の葡萄作業について、動画で葡萄作業をご紹介
樽の移し替えの話動画はこちらから
樽の中では一体何が起こっているのか?科学的な見地や実際の色の変化。

バルサミコ酢の鑑定の方法。品質、製法による味の違いをどのように感じるのか?動画はこちらから
認証についてなど説明をさせていただいたあと、コロナ禍においての活動を紹介しました。
毎回オンライン物をやるたびに、起こる事なんですが、長く喋っていると

「聞こえてるかな?わかりやすかったかな?つまらなくないかな?」と不安になるものです。
大学の授業という事で、プライバシーの保護という点から、学生さんのオーディオはもちろん、ビデオもオフ。
反応が見えない.…。
YouTobe動画も交えながら、どうやったら飽きの来ない授業にできるのか?伝えなくちゃ!と気をつけて熱を入れて話すのですが、ふっと素に戻る瞬間。だんだん頭の中がグルグルとなる一番恐ろしい瞬間がやってきます(笑)
もちろん台本的なものは用意してますので、迷子にはならずに済んでますが。
受講した方はどうだったのかな…。。
と思っていたところへ
今日、早速学生さんたちの講義の感想をいただきました。
その中から抜粋してご紹介します。
–イタリアの本物のバルサミコ酢について知ることができて良かった。
–こんなに手間のかかるものだとは知らなかった。伝統的製法のバルサミコ酢は時間も手間もかかり、一般的に販売されているものとは違うということを初めて知った。
–イタリアのどこでも作れるというわけではなく、ごく狭い地域でしか作れないということを初めて知った。

–白葡萄から作られるものということに驚いた。

–何十年もかけて作るバルサミコ酢、一度味わってみたい
–一度イタリアに行って見てみたい
–味噌や醤油同様、気候風土が関係する発酵食品の面白さを感じた。
質問もありましたので、ここでお答えしようと思います
–質問
同じバルサミコ酢を作る蔵によって常在菌が異なると思うのですが、味が違うのですか?
–答え
はい、違います。鑑定士として、何種類ものアチェタイア(バルサミコ酢の醸造蔵)のバルサミコ酢を鑑定する機会がありますが、微妙に違い一つとして同じ味になっているものはありません。

–質問
種類の違う木樽を使って作るということですが、樽の配列など決まりがありますか?
–答え
いいえ特に決まりはありません。なので、各醸造所によって木の樽の種類は自由に決めることができます。なので、樽のセットによっても味が違います。
我が家では漏れの少ない西洋オーク材と栗など材質の硬い樽を主に使用しています。2番目に大きな樽40Lに変化をつけて桜、アカシア、桑などをを入れています。
–質問 伝統的なバルサミコ酢は栄養成分も優れていそうですがどうですか?
–答え 抗酸化作用があるポリフェノールがたくさん含まれています。また酸味は酢酸だけでなく、クエン酸、りんご酸、乳酸、酒石酸、など沢山の有機酸が含まれており、有機酸の身体への疲労回復や抗ストレスなどにも効果があると言われています。
モデナではその昔、バルサミコ酢の効用について
「死人も起き上がる」と言われ薬屋で高価に売られていたことも…。
希少性、芳香と複雑な味のバルサミコ酢。死人が起き上がることはないにせよ、昔からカリスマ性がある特別なお酢であった事は間違いないでしょう。
アンケート、感想を書いて下さった学生の皆さん、そして、早々にまとめて下さった担当の平口先生ありがとうございました。
イタリアでまた日本で皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。
YouTobeチャンネル「Akane in balsamicland」ではバルサミコ酢醸造や、モデナの食文化などをご紹介しています。ぜひみて見てくださいね。