適応試験の帰りの車の中で、通って良かったね。と言ったらあまり浮かぬ顔。

私本当に入りたいのかな?他の子達はものすごく入りたくてしょうがない子ばかりだった。私だって合格したいけど、あれほど入りたいって思ってない。と言う。おそらく、まさか合格すると思っていなかったこと、入学を待っていますと言われたのが、急に家から出て寄宿学校に行くことや、厳しい軍隊のメソッドなど考えたときにやっていけるのか?と流石の娘もこのあたりのことが急に現実的になってきたのかもしれない。

アンコーナの帰りに寄ったピアディーナのお店

ここまでの試験が多分1番大変なのだから、それに挑戦したと言うことで、いい経験になったと思うから、3次試験を受けるかどうかゆっくり決めたらいいのじゃない?自分の納得のいく様にしたら。と言って家に帰ってから、示し合わせたわけではないのに、夫が娘に同じ事を言った。

 6月夏休みに入って、最終的に3次試験を受験する事を決めた娘。

出題箇所が提示され、歴史と、物理と、自然科学の範囲がほとんどやったことのない分野が多く入っていると言う。そんなことを言っても始まらないのだから、解答は選択式なのだし過去問を解いて対策をたてていくしかないじゃないかと諭したが、何となくそれまでの気合いが半減した感じがしていた。

最終試験は7月15日に、ウンブリア州のフォリーニョで陸海空軍全ての理系高校の受験者が一気に集められての試験。

暑いのなんの38度越え。今回は夫も一緒についてきた。せっかくだからペルージャのJAZZフェスティバルを覗こう。という事になったが、夕方時間が早すぎて暑さに早々移動。

ペルージャここまで暑くなきゃもっと見て回ったけど38度越え晴天では早々に移動

 アッシジを横目にフォリーニョ入り。夕食前にアペリティーボでも行かない?と娘を誘ったが、宿に残ると言う。夫と日が沈み始めた街を散歩。そこかしこに受験者がいっぱい。一目でわかるのは引率者の両親と全く会話する風もなくスマホ片手(過去問が掲載されているアプリがある!)に過去問を必死に解いている様子。なぜか全員黒Tシャツ。イタリアの夏を満喫してます!と言わんばかりの笑顔でカラフルな服装の観光客に混じるとそのコントラストが面白かった。と娘に言うとこちらもスマホからちらっと顔を上げ、「明日終わったら、やっと私も夏休み」と冷たく言い放たれた。

暑いモデナでも、田舎暮らしの私たちの家は、周りには何にも建物がない。朝晩は窓を閉めようかと言うほど涼しい風が入ってくるため、真夏でも冷房知らずだが、フォリーニョの街中は夜中でも暑く冷房をつけっぱなし寝た。そのせいか、よく眠れなかったと言う娘、朝ごはんを食べさせて最終学力試験会場へ。徒歩で向かう、かなりの数の受験者がいた。今回はあまり気合いの入っていない顔をして入って行った娘だった。

今回の試験会場も軍の施設

案の定と言うか、8月1日に合格発表。9月5日に学校へ出向くようにと言うリストの中に娘の名はなかった。が、合格者及び補欠合格者に向けた、入学のための必要用品長いメールが届いた。どうやら補欠合格になったようだ。が、合格者番号78番。辞退する場合は10月5日までがリミットで、点数が上の人から連絡が来ると言うが65名の合格者から13名も辞退者が出るのは望み薄。入学は無理だったけど試験は良い経験になったじゃないと家族みんなが言うと本人

「どうせ本気で入りたかった訳じゃない。」

と捨て台詞を残し、本格的な夏休みに入った。

日本から私の両親が遊びにきて山歩きをしたり、

夫と、士官高校入学がなくなったからには何か新しいことどんどんさせないといけないね。と話し合いバルセロナに住むアメリカ人と結婚した主人の従兄弟の家(会話はほとんど英語)に1週間ベビーシッター兼バカンス。

初めて一人で国際線に乗って行った。フライトが1時間半遅れたり、搭乗口が変更になったり相当ドキドキしたことや、オーストラリア人のおばちゃん二人組が助けてくれた話、パパのリクエストのチョリソーを近所の肉屋に買いに行った話やら、いろんな国籍の人のお家に遊びに行ったり、スペインからのたくさんのお土産と共に、初めての一人旅を話してくれた。彼女なりに夏休みを満喫したようだった。

娘が送ってきたサグラダファミリアの写真 まだクレーンが

そして9月。バスの定期券も発行され、新学期を迎え、全ての教科書も揃い(イタリアの学校は、教科書は各自が購入するシステム),いつも通りの生活が再開された。

親としてはああ士官高校に入学してたらどうなっていたんだろう。と思わないでもない。全て新しい経験ができる環境への期待は、私の中でもかなり大きかったと知る。

そんなある日、忘れもしない9月18日の12時。私の携帯に見知らぬ電話番号からの電話、またセールスか何かだろうと思って出ると、

「海軍士官高等学校フランチェスコモロジーニですが。」

「え、えええ? はい、すみませんが、主人もいますので、電話をスピーカーにさせて頂いて良いですか?」と大慌て、改めて夫と要件を聞くと

「辞退者が出ましたので、お宅のお子さんの入学が決まりましたが、入学意思はありますか?本日の15時までにご連絡いただいて、入学意思を確認しましたら明日の昼正式にメールをお送りいたしますが、揃えるものが多いですから連絡しました。」

電話を切って夫と声を揃えて

「Mamma Mia!  Incredibile!!日本語だったらえええー信じられない」

と叫んでしまったほどだ。

諦めただけに大どんでん返しの気分、娘はどうするのだろう?

続きます

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