2023年が明け、15年熟成のバルサミコ酢の発送準備を始めたところです。

 皆さんはどんな年明けを迎えられましたか?我が家は雄大なドロミテの自然の中、散歩、ソリ、スキーにスケートと思いっきりバカンスを楽しんで充電をしてきました。

イタリアはクリスマスは家族と過ごし、大晦日や新年は友人と過ごす。と言う方が多いのです。御多分に洩れず我が家もクリスマスイブは夫の叔母の家でパーティー、クリスマス当日は夫の両親、兄弟と過ごし、数日後からアルトアディジェの山の家へ。

久しぶりに家族全員で集まりました。

カウントダウンは友人家族たちと10人で。スプマンテ、チョコレートに色々なお菓子、パスタにサラミなどなど思い思い持ち寄って大晦日の夕食に備えます。

ほんの一部ですがチョコレート、ナッツ類も充実

縁起物で大晦日には欠かせないコテキーノとレンズ豆はモデナの市場で買って、私がつくりました。

生タイプのコテキーノ。煮る手間はかかりますが、歯ごたえ味ともに真空パックのものとは全く違う美味しさ

日中はスキーに観光にと楽しんでいるから、夕飯を食べたら眠いのなんの。なんとか、トンボラ(イタリア版ビンゴゲーム)をしたり、花火をしたり、映画を見たりして、0時まで持ち堪えましたが、スプマンテで乾杯してみんなすぐ寝床へ

大晦日の街の様子 クリスマスからマーケットが出ています。

スキー関係の友人が多いので、ちょっとスキー場の紹介を。

ドロミティ全体は12のリゾートを全て合わせると、450基のリフト、ゴンドラ、総計1226kmの滑走距離になるそうで、そこを全て滑るスーパースキーパスなるものがあります。が、各スキーリゾート別のスキーパスや、小さな町営スキー場のようなコースもあって、家族のレベルや体力によって、滑る所を選びます。

こちらは町営スキー場。小さな子供たちのためにプレイスペースが設けてあったり、おじいちゃんおばあちゃんのために、椅子や毛布が置いてあったりします

夫は20代の頃、怪我をしてから全くスキーをしませんが、私は元競技スキーヤー、どうあっても滑りたい!かと言って家族を放ったらかしにして滑るわけには行かない。唯一の手段は子供たちを滑れるようにすること。

とはいえ、あまりにも巨大なスキー場。初心者レベルでは、一度山の反対側に行ってしまったら、時間切れで、もう帰って来れない可能性もあるわけです。スキー道具をつけたまま山の反対側から2時間かけて、バスで帰ってくるなんて事態は絶対避けたい。子供たちの足前を上達させないことには滑れない。

まずは町営スキー場の斜面で子供たちに教え、娘14歳はパラレル、息子9歳はスーパーボーゲンで5日間滑り込ませた後、プランデコローネススキーリゾート、32のスキーコース滑走全て滑れば、距離にして120km。日本最大の志賀高原スキー場は80km弱だそうですから、いかに巨大か!

最高の天気を見計らっていざ!

標高2200mの山頂から下の街が見渡せます。

長い緩斜面で少しづつ脚をならさせた後、長いゴンドラを4基乗り継いで、頂上へ。

どうせなら反対側のブルニコ市まで降りない?と提案。ちなみにイタリアの斜面は青(平均斜度15度以下)、赤(平均斜度23度以下)、黒(37度以上の場合あり別名壁)と色分けされております。まあ赤と青が混ざってるコースで降りれば良いかなあと思い、降りていったらどうやら途中で降りる方面を間違ったらしいのです。あれ、黒だわ。今まで滑ってきたところは赤。良いペースで降りてきた子供たち。ここからゴンドラに乗って頂上に戻る選択肢もあったのですが、降りていく人を見ると大したレベルではない。これならいける。と踏んで、連れていったのがまあ大変なことに。

黒くなぞったのが問題の斜面。

最初の2箇所の斜面はどうにか降ろしたのです。が、一日中日陰と思われる斜面はかなりのアイスバーン。3箇所目ボーゲンの息子は斜面の初めでひっくり返って一気に凍った斜面の2/3まで落っこちていきレーサー風のお兄ちゃんに抱き起こされたのを確認後、私は板を拾い上げてなんとか履かせたは良いけれど、腰がひけて立っているだけで、ずり落ちていく状態。なだめてすかして4つ目の斜面へ。が見た瞬間

「こりゃ滑べらせるの無理だわ」と

青凍りの上、片斜面。かなりの人数の人達が右側ネット脇の吹き溜まりを板を外して歩いている。勇気を出して滑っていく80%は転んで下の平らなところまで滑落し、茫然実質して座り込んでいる。躊躇なく滑っていくのはワンピースに短パンスキーウエアの、トレーニングを終え昼休みになった風の地元のレーサー集団のみ。

第一の斜面まだ余裕ありですが、後ろも結構な斜度です。

私の40年近くのスキー史上でもこんな悲惨な状態の斜面は見たことがない。怖くなってしまっている息子。スキーを取ってもまっすぐ立ててない。あっと思うまもなく、尻餅をついて一気に斜面をものすごい雪煙を上げて滑って600m以上落っこっていって、横の吹き溜まりに乗り上がって止まり、動かない。慌てて息子のスキーを拾い上げ、横滑りで転んでいる人を避けつつ降りていくと、横滑りでも止まれないくらいカッチンカッチン。

モゾモゾ動き出した息子氏「つめたい、前が見えなーい」と言う。

そりゃそうでしょう。ゴーグルにもヘルメットにもウエアーの袖口も手袋の中にも、隙間という隙間に雪が詰まってますもの。痛いところはないようだと安心した瞬間、娘置いてきてしまったことに気づき、焦って上を見上げると、一回転びそうになったものの、持ち直して降りてきた。

安全のため18歳までの未成年はヘルメット着用義務あり

さすが、体力も脚力もある14歳は違う。

そんなこんなしてたら、私たちの横の辺りに降りてきた地元のおじさんに、「この斜面はね、暖かくなった後、冷えると凍りすぎて危ないから、数日閉鎖されるような斜面なんだよ。ここで大変な斜面は終わりだから、僕頑張って降りろよ。」と勇気づけられ、その言葉通り最後はどんどん怖がらず降りられる斜面でブルニコの街の辺りまで降りてゴンドラへ。

滑った後は達成感いっぱい

山の天辺から麓までの走行距離7kmの大冒険を終えました。

娘に「幼児期のトラウマはこうして作られる」と皮肉られましたが、家路に着く斜面はスイスイと降りていく娘と息子。スキーに乗る位置も格段に良くなっている。

大変な斜面の後には、レベルが格段にアップして余裕が生まれるもの。

最終日の夕食。今回のバカンスで一番嫌な思い出と、良い思い出教えてと言う友達の質問に

息子氏

「そりゃーピスタネーラ(黒い斜面)、冷たいのが嫌だった。でもね良い思い出でもある。斜面をお尻で滑ってっちゃったのは面白かったよー雪煙で全く前が見えなくなっちゃったけどね。」

だそうで、どうりて泣かなかったわけだと納得。そしてこれからも安心して無茶したスキーに連れて行ける、上達間違いなし!早く上級者斜面を滑れるようになっておくれ。と願うスパルタの母。

滑った後は、Barで一休み

とはいえ皆さん、スキーの足前に相当自信がない場合、黒斜面は避けた方が無難です。

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