樽職人ミゼッリさんが帰った後から、マックスと2人結婚式の準備と並行して、醸造室の構想を練って行ったのである。
この頃まだ気づいていなかったが、うちのマックスは大は小を兼ねる、期間は10年先とともかく何をやるにも毎回計画が壮大&長期。
せっかくやるなら、醸造室の面積は有効活用しよう!
最終製品が取れる量から考えたら、32セットが妥当。160樽が必要だ!
最初に入れるワインビネガーも必要だから、醸造タンクもいるな!
家宝の樽もこのスペースに移そう。
とCADで醸造室の設計図を作り、左官屋と連絡を取りはじめた。
「結婚前のいや、醸造を始める前の夢いっぱい時期(?)」を過ごしたのである。
もちろん結婚祝いにには「樽調達資金」という資金調達集めの親戚代表と友人代表も決め結婚、新婚旅行が終わった早々に樽屋から手配し、夏から本格的に始動できるように決めた。
何かを製造するには、日本であれば保健所に届けを出さなければならない。イタリアだって食品衛生法に基づいた企画があるはず。
一から醸造室を手がけるならば、手を入れる前に保健所に問い合わせをすべきではないか?と提案した。
私はこういうことが気になってしょうがない。というのも、家政学部卒業後、国家試験を受けて、管理栄養士になり、企業の社員食堂へ勤めた。併設のクリニックがあったので、社員の栄養指導、メニュー作成はもちろんのこと、衛生管理者として、毎日1000食を越す大量給食施設の管理をしていたため、食品の製造=食品衛生法が染み付いていた。
そんなわけで、イタリアのバルサミコ酢の醸造室を作るための食品衛生基準法を調べ、イタリアではASL(Azenda Sanitaria Locare)と呼ばれる保健所に問い合わせて計画を進めていった。
樽と床からの距離、壁、床の色、流し、手洗い場の有無、将来的な瓶詰め施設、検査室の有無などそう言う基準がやはりあった。例え販売を行わなくともどのみち、リフォームをしなければならないのだから、少々面倒でも条件を満たす様に作ろう。

まず何はなくても大型の流し台と、醸造室の一部にホースがつなげる給水栓と、水を使う場所はタンクの洗浄などで、大量の水が流れても大丈夫なように、床の高低差を考えてた床掃除のしやすさなどは規定になくても絶対に欲しい、などなど
プロジェクトは自分たちで全て考えて、左官屋さんにお願いをした。
もちろん壁のペンキ塗りや、網戸付けなどできる事は自分たちでやった。

気が早かったかもしれないが、最初から計画しておいた事で、
後々醸造室の登録がスムーズに完了した。
バルサミコ酢造りの様子を動画で紹介しています。