イタリアに住んだ事がある外国人であれば、必ず訪れなくてはならない所。
それはクエストゥーラ警察管轄の移民局。
3ヶ月以上の滞在をする場合、ペルメッソ ソッジョルノという名の滞在許可証が必要である。イタリアに長期滞在する場合はすぐにこの滞在許可証が必要なのである。一度でも行った方ならよーくご存知のように、できるだけ近寄りたくないはたまた面倒な場所。
私の中で、イタリアの名所ならぬ迷所ナンバーワンにノミネートされている場所である。
10年以上前の記憶は、早朝6時から並び、3番目に並んでいたというのに、8時過ぎに門が開くと列を無視して、イタリア語を全く話さないようなアフリカ系、中東系の男たちが我先にと殺到する。それをこん棒で取り押さえる警官数名。他の警官が出てきて、並んでいた中で一番身なりが整ったスーツ姿の私に1番に何をしに来たか訊ねる。この辺も計算済みの服装である。「おはようございます。ペルメッソの更新予約をして今日朝にと指示されたものですが。」というとすぐに窓口に同行案内してくれた。私の後ろには長蛇の列。いつの間に到着したのかブルカを被った女たち、インド系の子沢山の家族、どうやら指示された用紙にアルファベットも書けない男に付き添う友達もイタリア語が堪能とは言えず、係の警察官がイライラと必要書類の提示を声高にするが、あるのかないのかもわからない。書類が不足しているから、手続きはできないという係員に泣きつこうとする女性。こんな状態だから、列の後半になれば、午前中いっぱい待って手続きができないということも、しばしば発生する。手続きを終えて扉を開けたら、切羽詰まった感じの中国人女性に中国語で書類を突きつけられ、矢継ぎ早に質問をされた。申し訳ないけれど、私中国語はわからないの。とイタリア語で返したら、大きなため息が帰ってきた。こういう中にいると自分は違法滞在者の気分になってくるのだから不思議なものである。
このカオスの中にイタリア人と結婚している上に、イタリア人の未成年の親である私は合法滞在者に分類され、有効期限が空白の無期限 EU市民の家族用滞在書なるものに切り替わって久しく、10年に一回日本のパスポート更新によるパスポート番号が変更された時に書き換え手続きをすれば良い。
コロナ禍で日本に帰らないし、パスポートの番号の更新もしなくてはならないがまあそのうちにと伸ばし続けていたが、いい加減行かねばならぬ事情ができた。
というのも、会計士の友達と話していたら、個人事業主になって、様々な申請を見直したほうがいいよとアドバイスを貰った。その一連の申請内容で、日本でいう子供手当受給の申請を出したら、滞在許可証が無効であるために資格なしと言うメールが届いたのである。それも12月17日金曜の午後。申し立ては12月31日までにと記載してある。
日本人の方がブログで書いていらした、2023年8月23日までに滞在許可証デジタル化義務。場合によってはイタリアのでの公共サービスが受けられない憂き目にあうという記事の一文が脳内にフラッシュバックした。
結婚して14年。無期限という割に紙製。印字も薄れかけた写真も随分若い滞在許可証。スイもあまいも噛み分けたイタリア在住15〜25年の友人たちと、今慌てて行っても、どうせ係員がわかっちゃいなくて、たらい回しだから来年くらいでしょ行くの。と話していたのが9月ごろ。しかし一刻も早くICカードに切り替えしなければならない。
コロナ禍では全て手続きは予約制となっており、ざっとネットで調べると、cupa.progectというサイトで予約できる県もあるが、モデナ県は対応しておらず、モデナ県警のサイトで調べると住まいの市のpatoronato Acli という税務手続きを主に行う市民後援団体で予約手続きをせよ。と書いてある。
我が市の窓口は月曜の午前中のみの受付。20日月曜の朝1番で駆け込むと、うちではできないから、モデナ県の介護者や、家政婦の窓口のところへ行けという。外国人労働者の一番多い窓口だからなのだろうが、なんだか納得がいかないが、外国人移民窓口も兼任しているのはそこだという。電話番号をもらい、電話番号をくれた係員の名前と係員の名前を聞き出した。すぐに電話するもなんと呼び出し音も鳴らない。
仕方なく、アクリ後援団体の代表番号を回し、「私の住んでいる市のジョバンニ(仮名)さんから、こちらのルチーア(仮名)さんに電話をするようにと言われたのですが、というと、はいはい内線で回します。とルチーアさんにすぐに繋いでくれ、今すぐ行く旨を伝えた。朝の9時前に到着。こういう市民団体の窓口というのは大変にわかりにくいと相場が決まっており、5つある部署の各入り口には長い行列ができているところもある。一番並んでいない扉を開けて、お目当てに部署の扉を教えてもらい、扉を開けて開口一番、ルチーアさんに予約をしたものだと伝えると、目の前に座っていたのがお目当てのルチーアさんだった。個人名を聞き出して置くことは大変に重要なイタリア。が、こういう係員が全てを把握していると思ってはいけない。
ネットで仕入れた公式文章のスクリーンショットを見せつつ、状況を説明し、どうしても今週中に滞在許可証IDカード更新の予約が必要な旨を伝えると、この手続きは木曜日の午前中のみで、今週キャンセルが出て12月23日の11時半に予約が取れる、そのあとは2月2週目になります。と耳を疑うようなことを言う。23日!これは大幸運。必要書類を揃えるだけである。くれた必要リストがネットで調べたものとかなり異なるのが気になり、失礼こちら初めて申請する方の必要書類となってますが、確かですか??と聞くと私もこの無期限の滞在許可証初めて見たので、あっもう一枚更新のための書類一覧が!多分これです。と。
頼りなさすぎる係員。その一覧には抜けている、ICカード申請のためには郵便局からの30,46ユーロの振り込みが必要なはずですよ?と聞くとやっと振り込み用紙を出してきて、多分これですよね…。
と本当に大丈夫か?!
後半に続きます。