バルサミコ酢のはじめの一歩、種酢と母なる樽の話

12月に入ってから急に気温が下がって、雪が降りアッペンニン山脈も珍しくクリスマス休暇前にたくさんの雪がと思っていたのも束の間。

どんなに雪が少なくても雪だるまが作りたい、我が家の子供達製

5、6日に気温が上がり、大雨が続き一気に山の雪が溶けて、川が増水。数時間のうちに近所のパナーロ川が決壊。私の住むノナントラの街の多くが床上浸水するような痛ましい災害となってしまいました。

湖のようになってしまった牧草地

幸い、我が家の方まで水は来ませんでしたが、被害に遭われた子供達の同級生のおうちも沢山あり、4日たった今もライフラインが復旧していないところもあるそうで、ただでさえ難しい2020年、なかなかみんなが平穏な気持ちでクリスマスが迎えられないのは、辛い。

本当にお見舞い申し上げます。

バルサミコ酢造りに種酢は必要なのか?という疑問

さて、Akane in balsamicland と名付けて作っているYouTobe動画でバルサミコ酢を科学するという、マニアックなシリーズをアップしているのですが、「アルコール発酵を止める」種酢について質問を頂きました。 興味がある方はこちらから https://youtu.be/cN-bmTYmOa0

何故葡萄の煮詰めた汁モストコットのアルコール発酵を止める必要があるのか?
葡萄のアルコール発酵はワインもそうですが、まず葡萄のグルコースを使います。その後フルクトースの発酵が始まります。バルサミコ酢の甘味はフルクトース集積なので、グルコースが使われた後、種酢を入れてアルコール発酵を止めて、それ以上糖分(フルクトース)がアルコールに変化するのを止めて、甘みを残しています。逆にグルコースを残してしまうと熟成を長くしていくうちに結晶化してしまうので、アルコール発酵をさせます。ちなみに、葡萄のグルコースとフルクトースは約半々で存在しており、フルクトースはグルコースの倍の甘みを感じると言いますが、すっきりとしたキレのある味がフルクトースの特徴です。

実はこの過程が工業的に作られたバルサミコ酢と伝統的な製法で作られたバルサミコ酢の大きな違いで、工業的に作られたものはモストコットを煮詰める段階で、シロップのように煮詰めてしまうため、アルコール発酵が起こらず、甘味の成分も異なってきます。

種酢は?どうやって生まれるのか?

最初にお酢にするにはという事をお話ししたいと思います。バルサミコ酢造りにおいてはまず空の樽に酢酸を植え付ける作業をします。1年間ワインビネガーを入れて、樽の木の気泡に酢酸菌をしっかり行き渡らせ、空にした後、そこにアルコール発酵したモストコットを少しづつ入れてお酢にします。

その樽を母なる樽と呼んで、バルサミコ酢熟成の第一段階であり、この母なる樽の中で、酢酸菌が生き生きとしていないと、熟成させていくにも支障が出ます。甘みがあるというのはすごくお酢に変えるのが難しいので、酸度検査、気温、お酢の状態を観察しながら種酢にするので面白いのですが、モデナ人でバルサミコ酢造りをゼロから初める方は、モストコットアチェティフィカート(モストコットがお酢に変化したもの)を購入するという方が最近増えているようです。もちろん、この母なる樽、定期的に、掃除はもちろん、香りを嗅ぎ、酸度検査し、お手入れをしています。

こんなふうに樽の中でできたのが種酢、いや、軸になるバルサミコ酢造りの第一歩、元酢という考え方の方がわかりやすいかもしれません。なので私たちバルサミコ酢を作るものがボッティマードレ、バデッサと呼ばれる母なる樽を大事にしているのがお分かりになるのではないかと思います。

そんなわけで今回のテーマ種酢は必要か?は種酢が母なる樽の中に作れなければ、バルサミコ酢作りが始まらないというそんなお話でした。

今回の動画は種酢をテーマに母なる樽をご紹介します。