何事もやってみるが「吉」の秋

あっという間に11月も半分近く過ぎ

秋がどんどん深まるモデナ

今年は雨が少ないせいか、葡萄の葉も色鮮やかに紅葉中

9月の葡萄作業を終えて、ゆっくりとアルコール発酵をしていたモストコットは種酢を入れて発酵を止め、春までゆっくり寝かせます。

アルコール発酵では香りや風味が生まれ、同じ葡萄からこんなに味が変化するのかと毎年感心することしきり。春になるとまたこの味の深みが増していくというのも微生物のなせる神秘の世界。

 葡萄が落ち着いた頃から、秋はなんだかバタバタ。ワクチン接種が行き渡り、ワクチンパスポート義務ができ,コロナ以前と同じ頻度でイタリア国内の和食料理教室の仕事が復帰し始めたり、家族の用事で移動が多かったため、Googleマップから送られてきた移動状況を見てびっくり。

いやーよく移動しました。その中でもすごく印象的だった、イタリア最も美しい村の一つに登録されているボッビオはイタリア好きWeb通信に記事にしていますので、是非ご覧になってください。

素晴らしい天気に恵まれたボッビオ

先週は母校の東京家政学院大学の管理栄養士専攻の学生さんに、栄養学の一環、キャリア支援科目の中の海外専門研修の授業を担当しました。

2020年の3月にイタリアでお会いする予定でしたが、コロナ第一派の真っ最中で残念ながらキャンセル。オンラインで是非とお話をいただき今回講義をさせていただきました。

内容としては

1 、イタリアの現状

2 、イタリアでの暮らし(食文化・気候・制度など)

3 、これまでの人生経験

4 、学生時代に学んでおくべきこと

私のやってきたこと、現在している仕事について、

エミリア ロマーニャ州の風土、食文化からバルサミコ酢の醸造について、海外生活に必要な事は?と言うテーマでお話ししました。

実際受講してくださった学生の頃はイタリア語は一言も知らず、きっと国家試験を受けて、管理栄養士になって日本で仕事するんだろうなと漠然と思っていましたが、まさか、イタリアでバルサミコ酢を醸造し、イタリアの生活を母校の後輩の皆さんにオンラインで授業するなんて夢にも思わず。人生とは不思議なものです。

 とっても真面目でおとなしい学生さんたち、担当の先生も、「皆さん、『たなぼた』はないのよ。」とおっしゃってましたが、本当にそうだと思います。やりたい事がもしなくても、色んなものに興味を持って、一生懸命やって欲しい。人生何一つ無駄はなし!というのが自論。実際、大学で勉強した事が、こんなにバルサミコ酢造りに役に立つとは思っていませんでしたし、20代で趣味、好きでやっていたこと、半ば強制的にやらされた事が20年ちょっと経った今、全てが生きてきていると感じています。

さあまだまだ私も新しいことを広げるには、興味を持って色々やらなくては!と授業を終えてから、ちょっと忙しかったことを理由に気合いがちょっぴり抜けている自分に言い聞かせたのでした。

夏恒例!トマトソース作り

残暑お見舞い申し上げます。

今年の夏はとても暑くて雨が少ないそんなモデナです。

真昼の太陽はジリジリと焼けつくよう

日本の皆さんはトマトと言えば、南イタリアを想像するかもしれませんが、実は私が住むエミリア・ロマーニャ州は加工トマトの生産量がイタリアでなんと第一位。

加工トマトというのは、加工されたもの。という意味ではなく、加熱加工向きのトマト。生食用のトマトと比べ、皮が硬く、支柱栽培ではなく、スイカのようにごろごろと地中に這わせて育てています。以前イタリア好きのweb通信で書いたものがあるので、詳しくはこちらから。

ご近所の農家さんが栽培している完熟トマトを毎年8月の頭から中旬にかけて買いに行きます。

農家の葡萄畑の間に無造作に積み上げられている、トマト、トマト、トマト!機械で摘むのですか?と聞いたらうちは全部手摘みだよ。と!まあこの暑い中本当にご苦労様です。

こちら一部、葡萄畑の葡萄の木の間に他にもたくさん積んでありました。トレーラーみたいなもので買いに来る人がたくさんいるらしいです。

60kgください。と言ったら、箱を持ってきてくれてきたからおまけね。使うでしょ?と、10kg余分にくれるおじさん。

今年はいいできで、完熟だから、今日明日中に加工してね。と

総重量70kg。

田舎の車は何を載せるかわからないので、ダンボール敷き詰めてます

帰ったら早速瓶の洗浄。これが結構手間がかかる。

大体一本1kg強入る予定なので、70本を用意します。

これで半分くらい

翌日家族総出で、暑いので早朝6時から瓶の煮沸、トマトの洗浄。地面で育っているので、かなり土がついているので、一つ一つしっかり洗います。葡萄作業に使う大きな入れ物を出してきて、子供たちが洗浄係。大体最後は水遊び。夏休みですからお手伝いも楽しまないとね。

3回水を替え、よく水を切ったトマトをどんどん半分に切っていきます。中まで真っ赤。食べてみると例年よりずっと甘い!さすが太陽の子トマト。太陽がトマトを甘くしてくれています。

それを大釜で皮が簡単に外れるようになるまで火を通し、ザルに開けて1時間ほどしっかりと水を切ります。それを種と、皮だけ出てくるトマト潰しにかけて、ピューレを作り、火にかけて煮沸。瓶詰めをして、また瓶ごと煮沸して冷まして出来上がり!

こんな機械で潰すと、種と皮だけが出てくる仕組み

67瓶のトマトソースが出来ました。

今年は濃厚な、甘味の強いトマトソースが出来ました。塩も何も追加してない自然のままの味だからこそ、どんな料理にでも使えるのです。1ヶ月くらい寝かせた方が美味しいので、去年の残りを使い切って、それから使い始める予定。

出来上がった濃厚なトマトソース

秋が楽しみです!

動画でもどうぞ楽しんでみてください。

ワインビネガーとバルサミコ酢の話

ワインビネガーとバルサミコ酢は両方ぶどうから作ったお酢。

その違いは何かと言ったら糖分を残すか残さないかその違いがある。

ワインビネガーはその名の通りワインから作るお酢。

ぶどうの汁をアルコール発酵をさせてワインにしたものを、酸素と酢酸菌の働きで酢酸発酵が起こり、数ヶ月から1年ほどで出来上がる。

一方バルサミコ酢は葡萄の汁を煮詰める。と言う独特な作業があって、その葡萄液を煮詰めた汁の糖分の半分をアルコール発酵させて、酢酸発酵を樽の中で何年、何十年もかけてゆっくりと行うと言う違いがある。

その昔、葡萄は貴重なもの。バルサミコ酢はその貴重な葡萄を煮詰め、何年も熟成させられる財力がある王侯貴族など裕福な階層の人にしかできない特権で、一般庶民には見たこともないようなお酢だった。今でもバルサミコ酢造りは、モデナ人のステータスシンボルであることに変わりはない。

モデナを治めていたエステンセ公爵、その昔ドゥカーレ宮の塔の中に立派な醸造室を持っていた

ワインビネガーの話に戻る。裕福層の家庭においてもワインビネガーは必需品。我が家だって、バルサミコ酢を醸造しているけれど、普段の食卓にはワインビネガーを主に使う。日本にいる頃は、刺すような酸味のお酢と言う印象で、ワインビネガーが美味しいと思ったことが正直なかった。

開眼したのは自家製のワインビネガーを食べてから。うちに見学にいらっしゃる皆さんも「え、こんなにワインビネガーって香りが良くて、美味しかったっけ?!」とおっしゃる。

日本市場に出回っている葡萄酢をはじめとする果実酢の農林水産省が提唱している基準値を見て驚いたことがある。「醸造酢1Lにつき果実の搾汁として300g以上であるものをいう。 」え?70%は何が入っているの?!っと言う疑問である。うーむ

そりゃあ葡萄果汁100%でワインを作って、1年以上酢酸発酵をさせて作ったワインビネガーが美味しく感じる訳である。

古代ローマ時代はモデナは良質のワインビネガーの産地として有名で、モデナの酢と言う呼び名があったとか。ローマ軍の進軍にエネルギードリンクとして、水、酢、モストコット(葡萄のシロップ)を混ぜたものを飲ませていたり、古代の料理書の中にはとワインビネガーとモストコット、魚醤を混ぜて作るソースの話。保存食を作るための防腐剤の役目、清掃をするときなどに殺菌剤として使っていたりその用途は多岐にわたってていた。ペストが流行した時も、病人のいる部屋を酢で拭き清めること。なんて言う記述もある。

私たちも醸造室にワインビネガーは不可欠。

樽の清掃には、洗剤などは一切使えないから、ワインビネガーで樽の周りを清掃している。カビが生えるのを防止し、殺菌もできる上、醸造室の空気中に酢酸菌が増える。願ったり叶ったりというわけ。

樽の掃除中

新しい樽を使えるようにするにも、このワインビネガーを1年間樽の中に入れて置いて、余分なタンニンを取り出したり、木樽の中に酢酸菌を植え付ける目的。そんなわけで、ワインビネガーは何百L単位で醸造室に保管してあるのである。

秋にモストコットを作る時に、葡萄の果汁の一番搾りの良い部分はバルサミコ酢にとってから、残りを搾り取ったらワイン醸造タンクに入れてワインにしてしまう。春先になったら、ワインになった液体を醸造室の300Lのワインビネガー用の大樽に全て入れて、ワインビネガーにしている。

もったいない!と思われるかもしれないが、香りはいいけれど、飲むには酸味が強すぎる感があるので、少々料理に使うくらい。しかしワインビネガーにはとても向いている。バルサミコ酢もワインビネガーもどちらも発酵食品で、どちらにも捨てがたい魅力があるのである。このワインビネガーファンの友人に懇願されて分けることもあるけれど、今のところ商品化はしていない。というのも、ワインを継ぎ足し継ぎ足しで作っているので、発酵が常に行われているような状態で、瓶に移し替えても無濾過、無添加だと発酵が進み、澱がたまったり味が変化したり製品として安定していないから、研究が必要なのである。

今回ガラス製の大瓶で実験してみます。

樽で何年も続けて保存しているから白ワインを使って作っても黒くなる。何年も樽の中でミックスされて熟成されているから、味の深みが増したワインビネガーなのだけど、これをじゃぶじゃぶ樽の拭き清めに使っている。ワインビネガーで清掃した樽は外側もいい香り。

うちのワインビネガーファンの友人たちが知ったら、もったいなーいと騒がれそうだけれど、バルサミコ酢醸造というのは、そう言うところからして贅沢の極みなのかもしれない。

今週の動画はワインビネガーを作る動画を夫婦でご紹介します。

バルサミコ酢造りに関するそのほかの動画はこちらから

 

家庭菜園 その2

昨年からレイズベッド上げ底式の畑に切り替えた我が家。

その目的は庭で刈った大量の草や、枯れ葉の有効活用をすること。もちろん我が家には350Lのコンポストが2つあるけれど、全く追いつかないくらいの量が毎年出るのです。

紅葉の風情はあるけれど落ち葉掃除は大変…。

木枠を組み立てる作業

丸鋸で長さを切りそろえて、杭になる下の部分は三角になるようにして、アベンジャーのトールハンマー並みの大きな金槌で打ち込んでいく。

平でない地面に平になるように木枠を作るのが一苦労。ハンマーで杭打ちは汗だくの作業です。

やっと木枠ができたら、庭の木の剪定した枝、枯葉、枯れ草、炭なんかを敷き詰めて、そこにネコで何十杯も腐葉土を運ぶ。

剪定の枝、枯れ草を踏んで均一にしているところ

この土は長年庭の枯れ草や枯葉を山積みにしたところは腐葉土の宝庫。イタリアの田舎生活は、日本で触ったこともなかったネコ扱いも上達するおまけ付き!今なら平均台の上も渡っていけそうです。

そんな作業がやっと進んだある日

各レイズベッドに蛇口をつけて、自動散水設備を取り付けよう。と言い出す夫MAX

蛇口

ガーデン用品屋に行って聞くと、通常タイマーなどの散水システムは水道の蛇口に繋いで、その圧力を利用して散水できる仕組みだそうで、溜め水には利用できないとのこと。我が家の畑の周辺には付い堂の蛇口はない。100mほど離れたところに、古い井戸があるくらい。溜め水を作ったとして、手動式にしても高低差がなければ水は流れない。水道の水圧は通常0.25 0.3MPa。同じように30m以上の距離に一定の水量を短時間に散水するには同じ直径のホースを使った場合、理想として溜め水を5m!!の高さに上げないと無理だという。うーむ。

ぽとぽとと水滴が落ちる

必要なのはぽとぽと点滴のように水滴が落ちるようなシステムで、継続的な噴射のような散水は必要がない。各植物にゆっくりと落ちるようにすればいい。考えました。

まず、倉庫に転がっていた3000Lのポリタンク。以前葡萄畑を管理していたおじいさんが、水道がつながっていない倉庫に水を溜めていたもので、それを家族全員で運ぶ。

畑に近い少し高くなっているところに設置。井戸水を貯めて、改築工事に使ったあまりの水道の塩ビパイプ(これも倉庫に20年以上放置されてた)を繋ぎ、

長い長い水道の塩ビパイプ

各レイズベッドまで穴を掘り地中に埋めて、最後はレイズベッドの上を這わせる。途中途中、ガーデン散水用の細ーいチューブをドリルで穴を開けて取り付けて完成!

費用は1番お金がかかったのはこの大きなチューブを接続するジョイントの部分。かなりの数が必要でした。とはいえ1番かかったのは労力!

ここまで作るのにかかった時間は1ヶ月。もちろん沢山の野菜を植えました。

まあできることできること、毎日毎日食卓を賑わせてくれた野菜たち。もちろん我が家のバルサミコ酢と合わせても色々楽しみました。

動物性の堆肥を全く使用せずここまで採れるのか!というのが私の驚きの感想。そもそもこのレイズベッドを作るにあたって、「庭から出る大量の葉っぱや落ち葉を有効活用する」という目的は達成できたというわけです。

さて今年は2年目。随分減ってしまった土。落ち葉と枯れ草を入れ、また腐葉土を入れて野菜を植え始めました。

 

そんな動画はこちらから。しかし、畑仕事はいい筋トレになりそうです。

発送作業の裏側 前半

やっと日本に送るバルサミコ酢の発送が終了しました!

1月25日月曜日、やっとミラノのリナーテ空港横にある運送会社に日本に発送するバルサミコ酢を届けてきました。久しぶりの晴天。雪を頂いたアッペンニン山脈まで綺麗に見えます。

後はEeT da Romaの山田さんに無事届くのを祈るのみ。

山田さんはご自身が直接生産者を訪ねて感動した商品だけを扱う、超こだわりのイタリア食材の会社EeT da Romaの経営者。2016年会社を立ち上げる直前に希少な食材を見て回るツアーの前に我が家にお寄り頂いて、うちの主人共々すっかり意気投合したのがきっかけで、バルサミコ酢をお願いするご縁となりました。

厳選されたイタリア食材が並ぶda Romaの店内

バルサミコ酢ができたら是非連絡くださいね!と言われて早5年。毎年、できました?と連絡をくださるのだけれど、いや、もう少し後もう少しと引き伸ばしたにもかかわらず待っていてくださって、正式にバルサミコ酢の販売のお願いをお受けしたのが2020年の9月中旬。

初めて商品として出すため、エティケッタ、瓶、蓋、箱、梱包、何もないところから色々決める事が案外たくさんあるもの。10月から色々探し始めました。

まず決めなくてはいけないのは瓶。ありきたりのものではなく、バルサミコ酢の色が見えて、使い終わった後も使えるような、ちょっと珍しいものは…と決めたのがこのVenere 金星という名前の瓶。イタリア製で一輪挿しとしても使えそう。

蓋も液漏れや、一気に液体が出ないような構造のものを探して、蓋が二重になっている物を探しました。それをキャップシールで固定。運搬中のトラックや飛行機の中でも絶対に液漏れがしないように万全の体制を取らなくてはなりません。

これに合う箱とエチケッタ。が、この瓶首の部分以外全てカーブ、どんな形のシールも綺麗に貼れない。とすれば、最小限首の部分に貼るしかない。

と選んだのが円型のこちら。熟成年がわかるように13の文字を入れました。バルサミコ酢の色に映えるクリーム色。

12月の初めに私の住んでいる街の印刷会社にお願いをしました。来週すぐにできますよ。と言われていたのに、なんと12月6日アッペン人山脈に降った大雨で、それまで降った雪が大量に溶け、堤防が切れ、私の住む街の1/3が床上浸水。幸い我が家に被害はなかったのですが、お願いしていた印刷会社は30cmの水が上がったそうで、全ての印刷機器は汚泥に浸かり、復旧まで1ヶ月はかかるというのです。

普段は畑が広がる用水路の向こうが、まるで湖のように見える。建物があるあたりはどこも20〜50cmの浸水被害を受けた。

私の印刷する量なんて少量ですから、他のところに頼むことができたのですが、コロナに加えてこの水害では気の毒で、待ってでもお願いしたくて、1月18日までギリギリまでかかって刷りあげてもらいました。

箱は運搬中壊れないものがいい。パッケージング会社と10月の末からやりとりして、ピッタリとした円柱形で上下に緩衝材を入れて瓶を止める仕掛けをお願いし、見積もりをとり、12月の頭に紙の厚さや表面に貼る紙は、バルサミコ酢の樽を彷彿とさせるような木目調に、箔押しと細かいところまでデザインを決めました。クリスマスの箱の注文が捌け次第、すぐに作ります。少量だから数日見れば年明け工場の稼働次第、作りますからという担当者。こちらの納入期限1月の20日までに必ず納品をとお願いし、確認のメールも出し、年明けまた電話とメールを入れて念を押して、全てが順調に思えた1月15日金曜日、納品は来週頭かと待っていると、一通のメール。

商品の納品は3週間後になります。という最後の一文

はっ?一瞬頭が真っ白になりました。

後半に続きます。

この度初めて公式にバルサミコ酢を樽出しします!

2007年から仕込み始めたバルサミコ酢の樽から、14年経った20211月初めてバルサミコ酢を初めて取り出しました。

そんなに長い間バルサミコ酢を作っていたのにバルサミコ酢取り出さなかったのか?という疑問が湧くでしょう。そうなんです、各樽から毎年、50ml(33セットあるので計1650ml)を科学検査、官能検査(味をみるため)検査をするために取るため以外、一切取り出してきていなかったのです。

酸度検査、官能検査に使う道具

伝統的なバルサミコ酢の芳醇な香り、味というのは数年で作り出せるものではありません。

例えば、初めの数年は新しい樽にはとがったような味であったり、酵母で作られたアルコールはまだ酢酸発酵の途中であり、生まれる酸味は刺激が強く、まだ慣れていないお酢にもなりきっていない状態のところから、7年ほど経ってから伝統的な製法の大きな特徴の一つ、材質違いの樽の移し替え作業を行っていきます。そうすることにより、木のエッセンスが混ざり合い、長い長い時間をかけて、ゆっくりと微生物が働いて有機酸が増え、まろやかな酸味と芳香が増し、本物のバルサミコ酢の成熟した複雑な香りと味が初めて生まれるのです。

伝統的な製法で作るバルサミコ酢を見ると、高濃度のポリフェノールを含んでいます。

なぜなら葡萄の果汁を煮て濃縮させ、大変に長い熟成期間を経ると言う製造過程において、葡萄や、樽の木が持っているアントシアニン、カテキン、タンニンなどのポリフェノール同士が互いにつながる重合反応が起こりポリフェノールが劇的に増加します。重合したポリフェノールは抗酸化力が高まるため熟成期間が長いほど、抗酸化作用は増加しますので、高いアンチエイジング効果が期待できると言われています。

また、通常の食酢と比較し、酸度が高いのは、酢酸菌が生み出す酢酸だけでなく、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸と言った沢山の有機酸を含んでいるためです。これらの有機酸には旨みや清涼感をもたらし、さらに香りにも大きな特徴を与えています。酸味は緊張を緩和し、疲労回復やストレスを和らげる作用があるというのは梅干しレモン、ゆずなどを通して皆さんもご存知の通り。

お刺身にもバルサミコ酢、良いお塩をぱらり

このポリフェノール類、有機酸や香りだけでなく、旨みの元にもなりますから、塩分を控えたお食事にもバルサミコ酢を加えることで、高い満足感が得られます。

ここ数年、樽を開けるとバルサミコ酢独特の芳香がするようになってきました。一定量の販売をお願いされることがあったのですが、まだ、まだと断り続け、ようやく今年、夫マッシミリアーノと納得いくものを製品として、皆さんにお披露目する事を決めました。とはいえ250年の熟成を経た我が家の家宝のバルサミコ酢と比べたら、13(1年目は熟成年に数えておりません)熟成のバルサミコ酢はまだまだうちの娘同様、若い。まだまだ進化する可能性を秘めています。年々年を追うごとに香りも味も変化するのが、伝統的製法で作るバルサミコ酢。成長の過程を見守るというのも本物のバルサミコ酢を味わう大きな醍醐味ではないか?と思います。

 

20211月に製品として取り出したものから100mlの瓶に260本瓶詰めをしました。そのうち200本を日本に送ります。まずはあるデパートの御得意様限定の販売会にまずは出品されるそうです。

たった100mlの小瓶の中には、概算2kgの葡萄が詰まっている計算になりますが、バルサミコ酢はそんな物質的なものではなく、長い時間と情熱と愛情、微生物が織りなす発酵と言う不思議の賜物。バルサミコ酢を味わっていただけたらと思います。

 

バルサミコ酢についての記事はこちらから

モデナの街からBuon Natale!

Buon Natale!みなさんいかがお過ごしですか?

日本では24日のクリスマスイブが終わると、25日にはお正月の飾り付けに取って代わられてしまうことが多いのですが、イタリアでは25日がクリスマスを祝う日。

私が嫁に入ったForni家は、代々敬虔なカトリック信者で、義弟はカトリックの神父。クリスマスはキリストが生まれた日というおめでたい日であり、特に姑はアンチサンタクロース派(笑)。なぜならクリスマスのプレゼントはジェズバンビーノ(幼児イエス)が祝福として子供達への贈り物をする。という考え方。

これは我が家のプレゼーぺ。子供達が背景を描いて、いろいろ飾ってくれました。日本では馴染みがあまりないので、すが、取り立てて難しいものではなく、キリストが生まれた厩を中心におき、その他人々の生活を模ったお人形や、動物たちを置いていきます。ただ厳格な決まりは聖母マリアと父ヨセフは置いても、イエス・キリストのお人形だけは12月25日0時ぴったりに置くこと「もうすぐここにイエス・キリストの赤ん坊が誕生するよ」と、クリスマスを指折り数えるのです。ちなみに東方の三博士は遠方から遅れて祝福にやってきますから、それもまだ飾らず、エピファニアに置きます。

通常であれば、真夜中ミサがあって、ミサのクライマックスも幼児イエスが誕生するシーンを模った演出をします。帰ってくると幼児イエスが置かれクリスマスプレゼントもあら不思議出現しているという寸法です。

この習慣もイエスキリストの誕生を祝うという事を子供達に教えるために、プレゼントを置く習慣ができたようですが、最近ではイタリアでもカトリック信者が減っているため、我が姑のアンチサンタクロースはカトリック離れを危惧した結果。それを知らず、初めてイタリアで過ごしたクリスマスに

「我が家にはサンタクロースなぞ存在しないわよ!」吐息撒かれた時は、

「ええええええ、このお義母さんは、子供達の楽しみを奪うのか?!」

と驚いたのは強烈な思い出。文化の違いとはそういう事ですね。

24日のイブの食事は1日を通して、肉を食べません。現在では、生牡蠣や、スモークサーモンをはじめ豪勢な魚料理を食べるお家も多いようで、24日の魚の注文は1週間前までにお願いします!なんていう文言が魚屋の店先に見られます。

義理の両親の子供の頃は、イブの日は魚を食べるだけでなく、特に夕食は粗食が決まりで、ひよこ豆のスープを食べてから行ったそうです。なので今でもイブは肉なしの日にしてクリスマスに備えます。

でもね、なんでも楽しむイタリア人ですから、そんな真面目にクリスマスを迎えるわけではありません。おまけがあります。クリスマスですから、真夜中のミサから帰ってきたら、0時を過ぎますからもう25日。サラミを切って、スプマンテを開けて乾杯。子供達は幼児イエスからのプレゼントだけではなく、親戚一同から送られたプレゼントを開け、大人もプレゼント大交換会。こんな風にクリスマスは家族で過ごすイタリアなのでした。

今週の動画はクリスマス直前のお買い物。クリスマスのモデナの街と市場の様子をご紹介します。夜中に食べるサラミや、モデナの発祥であるコテキーノ、ザンポーネと言った豚肉の加工品を肉屋さんの店頭で撮影してきました。

さあこれから明日のクリスマスのお料理の支度を始めよう。

みなさん良いクリスマスを!

モデナのかぼちゃと師走

クリスマスまであと1週間。
12月に入ってからなんとなく慌ただしいのは、日本の師走と同じ感じ。
特に今年はコロナウイルス水際対策として、20日からは州を跨いで移動は規制される。

その後も、ロックダウンを出すか出さないのか?クリスマスだけでなくエピファニアまで期間を延長すべきなどなど、今日18時にイタリア政府からの正式な通達が出るらしいが、昨日の時点の記事では瀬戸際まで揺れに揺れている様子が報道されている。
17日のラレップブリカ新聞の記事

そんなこともあってか、昨日12月17日のモデナのの街中は、クリスマスプレゼントを物色する人、クリスマス、お正月に向けて食材の買い出しをする人でごった返していた。

平日木曜日の午前中というのに、横丁をかなりの人が街を歩いている。

市場の八百屋さんにはかぼちゃが山積み

秋に収穫されるかぼちゃが山積み。モデナは実はかぼちゃの産地で、郷土料理にもたくさん使う。冬至かぼちゃ食べると風邪をひかないなんて日本ではいうけれど、この時期一番甘みが増したかぼちゃを使った料理は見た目も綺麗でクリスマスやお正月に使う方も多いのだろう。

以前イタリア好きという雑誌のWeb通信でモデナのかぼちゃについて記事にしましたので、ご興味ある方はこちらからどうぞ。

https://italiazuki.com/2018/11/20/%e3%83%a2%e3%83%87%e3%83%8a%e3%81%ae%e3%81%8b%e3%81%bc%e3%81%a1%e3%82%83/

今週の動画はそんなカボチャの下処理の方法。日本のかぼちゃと比べ、ホクホクしたものより、水分が多いイタリアのかぼちゃ、大きく切って皮と種のついたまま丸ごと焼きするのがモデナ流

オーブンで焼くと、水分が飛ぶだけではなく、スモーキーな香りが加わって、味が凝縮されるので蒸したり、煮たりしたものとは風味が変わってなかなか美味しいのです。

バルサミコ酢も絶対合います。

街歩きのライブで撮影なんて面白いかもしれないと考えていたので、、下見がてらビデオと三脚を持ってモデナの市営市場(常設の屋根がある市場)の中を歩いていたら、警備員に手振りで仕舞えと合図されました。確かにイエローゾーンになったとはいえ、スーパー、ショッピングモールなどは入場制限があるし、必要なものを買ったら出ていけということなのだろう。物見遊山の観光客が来る場合ではないと思われたのかもしれない。
目立つ三脚はさっさとしまって、懲りずにビデオ撮影してきましたので、来週のVlogはクリスマスの街の様子と市場の様子をクリスマスに公開します。
お楽しみに!

サイトを始めるにあたり

イタリア モデナの地でバルサミコ酢造りに携わって13年が経とうとしています。伝統的製法で造るバルサミコ酢は毎年の葡萄の収穫、モストコット作りはもちろん、熟成期間が大変長く、最低でも12年の熟成期間を必要とします。時間だけが作り出すといっても過言でない本物のバルサミコ酢。バルサミコ酢という名が付いて市場に流れる製品の0、001%しかないという非常に希少なお酢です。そのため実際口にしたことがない方が大半と思ってほぼ間違いないと思います。

市場に流れているバルサミコ酢と伝統的なバルサミコ酢の違いはこちらから

イタリアのお酢といえばバルサミコ酢。イタリア料理店でも多く見かけるのではないでしょうか?

どうやって作るかご存知ですか?知名度はあれど、その作り方を知る人は稀です。ここ15年ほどで、日本でもバルサミコ酢と名のつくお酢がたくさんで回るようになりました。しかし、私たちが作っているような伝統的製法のバルサミコ酢はバルサミコ酢と書いてあるお酢の中の総生産量の0、001%しかなく、その本物製法はなかなか知られていません。なぜ量産できないのか、材料に違いはあるのか?熟成期間が最低でも12年?そんな醸造過程を日本人唯一のバルサミコ酢A級鑑定士であり、バルサミコ酢の醸造家がモデナから伝統的なバルサミコ酢の作り方をご紹介します。

実際醸造するにあたり

伝統的なバルサミコ酢の醸造を知ってもらいたい

実際醸造するにあたり、伝統的な製法はもちろん、科学的な視点、歴史、風土、伝統など多岐にわたる知識の必要性を感じました。さまざまな文献を読むことはもちろん、講習会への参加や様々な醸造室を訪問したり。それと並行して11年越しで日本人初のバルサミコ酢のA級鑑定士の資格を取ることができました。それは一重に伝統的製法のバルサミコ酢の奥深さに魅せられたからというしかないでしょう。

その間海外はもちろん、イタリア国内においてもモデナ以外の地域で伝統的な製法のバルサミコ酢について認知度がゼロに等しいということを知り、愕然としたのでした。そんな勿体無い事があるだろうか!伝統的製法のバルサミコ酢について、少しでも知って頂きたい、自分に出来ることは何んだろう?と考えたときに母国日本に向けて情報を発信することだったのです。

実際バルサミコ酢を紹介すること

いかんせん12年以上の熟成期間を経なければ、正式に製品として販売することはできない。そうだとすれば、その長い醸造過程を実際に紹介したり、醸造室へ来ていただこうとソーシャルネットワークに記事を書いたりするうちに、見学に行ってもいいですか?というお問い合わせや、記事を書くお仕事をいただいたり、我が家にを取材したいというお話や、雑誌のコーディネートといった事が少しづつ広がり、日本でも講習会をしてほしいというようなお話をいただくようになりました。

女子栄養大学での講習会の様子

コロナがあるからできることを

今年2020年に入ってすぐ、今までにない沢山の見学の予約や、講習会のお話を頂いておりました。しかし、コロナウイルスで世界は思っても見ない方向へ。2月末からロンバルディア州を皮切りにあっという間にイタリア全土がロックダウン。もうどうしていいかわからない、でも何かしなくてはとYouTobeを使って動画を3月11日から週一回バルサミコ酢の話、モデナの食生活など、イタリアに実際来ていただく事ができなければ、動画で見ていただこうと言う気持ちが伝わったのか、ありがたいことに日本から沢山の励ましのメッセージを頂きました。現在また感染が拡大していますが、コロナがあるから出来ることを探す。という二歩目が自身でのサイト開設です。動けないからできることを少しづつそんな気持ちで色々ご紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

YouTobe 動画はこちらから