赤ちゃんサイズの葡萄の実がつき始めました。今回は葡萄の話ではなく、このところエネルギーを吸い取られている
「ああ思春期の子育て」
こんなテーマで。どこの国でも頭を悩ます時期。我が家でももうすぐ14歳になる思春期真っ只中の女子一名。
自己主張ができてナンボの国イタリアは、青少年の主張も凄まじい。
コロナ禍が落ち着いてきたイタリア。2年間全くいけなかった遠足も再開。学校関係の行事も放課後教科授業、習い事の空手のレッスンに加え、大会に向けた強化練習、バンドに声をかけられてキーボード弾き、遊ぶ約束などなど、2年間封じ込めていた行動を爆発させるかのように予定を入れている娘。
成績が落ちたら最近持ち始めた携帯は没収し、全て辞めさせる。と言明してあるので、鼻の穴を膨らませて短時間でバリバリ勉強もこなし、立て続けに良い成績を持って帰ってきた、よし、それは認めよう。が、家の中での態度が悪いことこの上なし。ご飯の時間にしか顔を見せず、朝などムスッとしてろくに挨拶もしない娘。
やることやってんだから文句言うんじゃないよ、やりたい事やらせなさいよ。という気迫が炎のように立ち上がってますが、親としては小言や説教もしたくなるのが人情。
いい加減腹にすえかねた夫が、こいつは怒るだけじゃ効かないなと、ついに行動を起こしました。
月曜の4時間目娘のクラスは外で体育。息子の小学校は中学校の校庭の横を通らなくてはならない。注)イタリアの小学校は保護者が送り迎えをすることが義務付けらています
ちょうど100Mのスタートラインにスターティングブロックをセットしている娘を発見した夫。
全クラスの前で「K(娘の名前) Vai! Forzaaaa! Vinci per nooooi!!」Kいけー頑張れー俺たちのために勝ってこーいとでっかい声で大騒ぎ。全クラスメートがこちらを振り返り、先生も爆笑。
帰ってきて「パパ。お願いだからやめて」という娘
もちろんこれだけじゃ終わりません。
次の日は放課後の強化授業開始の合間に外の公園でお昼ご飯を食べるために友達と校門から出てきた娘に、息子と一緒にこれまたでっかい声で遠くから手を振りながら
「Ciao! Ciao! Ciaaaoooo KKKK」
お友達はその様子を「ほらおたくのお父さんまた呼んでるよおお」
とニヤニヤ。当事者にはなりたくないけど、他人事は楽しい。私も全体の様子を見ながらニタニタ。
娘は手を額に置いて空を見上げて絶望ポーズ。
「お前の態度が治ったらやらないよおお」とこのラウンドも夫の圧勝。
ここから家での態度が少し良くなりました。
そんなある日、「今度の土曜日友達と映画行くから」
聞くと、女の子達6人で、20時10分のドクターストレージⅡをネット予約したという。
「なんでそんな遅い時間に行くの?午後早い時間にして夕方に帰てこれるようにしなさい」
「だって他のお家は良いって言ったし、土曜の午後は2人の子が用事があってその時間にしか無理だから、お友達の親が映画館までは送ってくれるもん。」
まだ誰が送ってくれるのかも未定。映画が終わったら、誰が迎えに行くかも未定。
「全てが計画不足で、今回はお前抜きで他の友達だけ行くんだな。」
娘 絶望顔
「あ、ひとつだけ行ける条件があるよ。」
娘「???」
「うちは家族が全員映画を見に行く。そこにたまたまお前の友達と会ったってことならいいよ。もちろんkは友達と座っていいから」と
嫌だと言ったら、計画は終了。渋々条件を飲んだ娘。
行ってきましたよ。マーベル映画大ファンの息子9歳は夕飯も気もそぞろ、1時間も前に出かけると大張り切り。その横で娘は夫に
「パパ離れたところに座って、私の友達には話しかけないで!」念押し。
複合アミューズメントパークとでも言えばいいのか、10本以上の映画が上映できる大きな映画館。
一階は軽食レストランやチケット売り場とキャラクターグズ売り場に本屋さん。

2階はゲームセンター、3階にはスナックやポップコーンを売るキオスクと各上映劇場の入り口。
映画のフィギュアや立体ポスターの前で記念撮影する息子と夫を横目で見ながら、携帯でチャットをしている娘。案の定5人の友達は遅刻気味で、上映ギリギリならないと到着しないらしい。一手にバケツ型の容器に入ったポップコーン6つとドリンクを購入する羽目に陥った娘。こういう時だけ殊勝に

「ママ手伝ってくれない?お金立て替えないといけないし…。」
「はいはい。でもさ、こんなおっきなポップコーンの入れ物2人では持ちきれないからパパにも頼むよ」
夫、と私、息子とポップコーン持って、待ってましたよ入り口で。
もちろん夫黙っている訳がない。
「はいはーいご注文のポップコーン。この大きいサイズのはどなた?コカコーラでしたか?お水でしたかあ?」ファーストフードの店員さんばりの大声でついでに笑顔も大サービス
みんなニヤニヤちょっと恥ずかしそうに
「ありがとうございますうう」
もちろん席は離れていておりましたので、邪魔はしてませんが、
イタリアの映画上映、始まる前にこんな映像アナウンスが
「映画上映中、周囲に大きな声で話しかけたり、犯人はあいつだとかそういうことは言わないように」とやっぱり黙ってられない国民性だけにわざわざ流すんだなあと思っていたら
あるシーンの登場人物がマーベルファンなら大喜びのちょっとびっくりな展開になりまして
夫
「Noooo Che belloooo」
あゝ拍手まで始めちゃったよ。
が、他のお客さんおそらく同世代のおじさん達も大拍手。
私はこういうところがイタリアっぽくて、すごく好きなんです。
が、終わってからの帰りの車中で娘、「もーパパ、一番最初に騒いでたでしょ!」
娘よ、君の父親は愛すべきイタリア人なのだから。

それがわかった時が思春期も終わり、巣立って行くのだろうから、大いに反抗して欲しい。いや、もっと面白いことを夫にやって欲しいと、普通に小言と説教しかできない日本人の母は思うのです。対抗するにはエネルギーがどんだけあっても足らない。こういう夫も奇想天外な攻防戦は私の気晴らしにもなってます。
思春期のお子様をお持ちの皆様、頑張ってまいりましょう。